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 残っていた靴下と下着だけを干して部屋に入った俺は冷蔵庫を開けて牛乳を手にするとそのままパックに口をつける。 「もう!またそんなことする!」  宮部は目を細めるが、俺はそれどころじゃなかった。あの痕を見て気持ちが昂ぶったとか……ヤバいって。  冷たい牛乳で少し熱も冷めた気がして更にゆっくり息を吐いて落ち着ける。  カウンターに宮部が準備してくれた朝食を見て俺もリビング側に回ると、宮部と並んでカウンターチェアに座った。 「俺、このなめこの味噌汁好き」 「知ってる」  笑う宮部と共に手を合わせる。  この穏やかな空気も十分甘い気がした。だが、 「……村瀬くんってさ……」 「ん?」 「やっぱり、その……」 「何?」 「…………シたい?」  思いもしなかった宮部からの言葉に勢いよく味噌汁を吹いてしまって、更に変なところにも入って噎せまくる。 「はぁっ!?おまっ!!ゴホッ!!」 「ご、ごめんっ!!」  苦しくて涙が滲んだ。  慌てたように謝りながら宮部は俺の背中を擦ってから布巾で俺が吹き出したものを拭いてくれる。 「水でいい?」  グラスを渡されてそれを口にすると少しマシにはなった。 「……で?急にそんなこと言ったのは……コレか?」  リビングの簡易テーブルに置いたままになっていた昨日の額縁が入った箱を見下ろす。  宮部もチラッとそっちに目をやるとコクリと小さく頷いた。

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