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 ギュッと胸元を握っている手に力が入る。 「む……ら……」  掠れるような声を聞いて口を離すと、宮部の口からはどっちとも判別できない唾液が糸を引いて落ちた。  息を乱して首元まで赤く上気した宮部なんて見たらこのまま押し倒しそうになる。 「わり……」  慌てて手を離して背を向けると、宮部は俺の背中に抱きついてきた。 「宮……」  焦っている俺にそのまま後ろからためらうように手が回される。 「……僕ね。愛されるってことに慣れてなくて……村瀬くんが一緒に居てくれるだけで夢みたいなんだよ。しかも、村瀬くんは優しくてカッコいいだろ?」  バクバクうるさい心臓を必死に押さえて背中に宮部のぬくもりを感じながらその声を聞いた。 「抱き締めてもらうの好きだよ。安心する。恥ずかしいけど……キス、も……」  小さくなった声を聞いて宮部の顔がどうしても見たくなる。  宮部の左腕を引いてそのまま引き寄せると狙ってその小さな唇に軽くキスを落とした。 「ははっ、真っ赤」  笑って長いその前髪を掻き上げてメガネも取ってやる。 「お前は俺のモンだし俺だってお前のモンだよ。めちゃくちゃ愛してるやるから……とりあえず毎日抱き締めてキスはしような!」 「え……」  しっかり目を見て逃さないように再び口を塞いだ。 「待っ……もう、ちょっ……」  逃れようとする宮部を見つめると、宮部は落ち着きなく視線を動かす。 「かわいいかよ」  軽く笑うと宮部は俺にしがみついてきて真っ赤な顔を隠した。

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