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 朝食の途中だったことを思い出してお互いカウンターチェアに戻った俺たちはとりあえず食事を終えて、宮部が最近淹れる練習しているコーヒーを持って簡易テーブルの前で座っている。  日曜日の朝、バイトはどっちも入っているが、十一時からなのもあって時間に余裕はあった。 「お前の気が向くかもしれねぇからこれ飾るか?」  テーブルにある額縁を見て笑うと宮部はまた少し赤くなって首を横に振る。 「なら、これは俺の部屋に飾るわ。お前のことだから少しずつ……だろ?一緒に寝るとか、ヌき合うとかゆっく……」 「ヌ……っ!?」 「あ、わり。まずはただ寝るだけとか、風呂か?」  驚いたように赤くなって目を見開いたのを見て謝りつつ妥協点を探った。 「は……はしたないと思われるかもしれないけど 僕も色々検索してみたりはした……よ?」  もじもじと真っ赤な顔のまま落ち着かない宮部をコーヒーを口にして見下ろす。 「お前、それがはしたなかったら俺、どうなんの?」 「え……?」 「俺の頭ん中でお前を何回抱いたか……」 「抱っ!!」  ビクッと震えた宮部の肩を抱き寄せた。 「お前が俺のこと抱きたかった?」  そっと聞いてみるとガチガチになっていた宮部は縮こまったまま小さく首を左右に振る。 「うん、今すぐ取って喰いはしねぇから安心しろ」  そのこめかみにキスを落として抱き締めると、宮部は少し力を抜いて俺に寄り掛かった。  色々聞けただけで十分な進歩だ。  

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