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「琉生くん、これAの二!宮くん、Bの六〜八、下げてきてくれる?」  佐倉さんに言われて俺は緊張しながらケーキとコーヒーを乗せたトレーを手に持ち、宮部はトレーと布巾を持って中央にある大きなテーブルの右奥の三席を片付けに行く。 「いらっしゃいませ〜!あ、今、片付けますので少しお待ち頂けますか?」  満面の笑みで言っているであろう佐倉さんの言葉を聞きながら俺は慎重にコーヒーを運んだ。 「もっと肩の力抜いて笑顔ね!」  戻ってきた俺の肩を叩くと、片手に水を乗せたトレーを持った佐倉さんは微笑んで客を案内していく。 「あ、ありがとう」  その後ろ姿を見送って戻ってきた宮部の手にあるトレーを持ってやると、宮部ははにかんでから洗い物を並べた。 「リューグウは初々しいなぁ」  カウンター前から添田さんの声が聞こえて見るとニヤニヤしている。 「リューグウですか?」  その隣に並んで首を傾げると、 「|琉《りゅう》、|宮《ぐう》だろ?」  俺と宮部の胸をトンと指先で突いて笑われた。  思わず無言で宮部と目を合わせてしまう。 「バカは気にすんな!」 「店長、顔。琉生くん、プレート空いてるとこ下げてきて!宮くんも水回ってくれる?」  キッチンの中から店長が思いっきり睨むと、戻ってきた佐倉さんが笑いながら指示をくれた。  そのままオーダーを通してスラスラと伝票に書いていく姿はちょっとカッコいい。 「ん?」  視線に気づいたらしい佐倉さんににっこりと笑われて俺はちょっとドキッとしながらトレーを持ってフロアに出た。

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