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 夕方、バイトを終えてお互い自転車に乗って帰る。 「宮部……」  自転車を置いた宮部の手をそのまま引いて玄関の鍵を開けるとドアを開けつつもすぐに中に入った。 「村……く、んっ」  壁に押し付けてそのまま抱き締めながら口を塞ぐ。  バシバシと背中を叩かれてもなかなか離してやれなかった。  薄暗いその玄関先でも宮部の顔が赤く染まっているのはわかる。  必死に息を吸おうと大きく口を開ける宮部の中に角度を変えて舌を滑り込ませた。 「んぅっ……ちょ……」 「お前だけ」 「ん……?」 「ここまでしたいのも、こんなずっと離したくないのもお前だから」  口は解放してキツく抱き締めると宮部は息を整えつつそっと寄り添ってくる。 「……ごめん。僕が変に嫉妬したから、でしょ?」 「俺だって……お前が水城さんと笑ってるのはモヤついてる」  少し力を緩めてその後ろ髪を撫でてやると宮部はゆっくり顔を上げた。 「……村瀬くん、やけに水城さん気にするね」 「そりゃな。お前あの人には明らかに心開いてるじゃねぇか」  スネてやると、宮部はためらうように手を伸ばして俺の頬に触れる。  そのまま見つめていると宮部は真っ赤な顔を近づけてきた。  それ、キスか?と聞きたくなるようなギリギリ触れただけのキス。 「……証……明」  俺の肩口に顔をつけて宮部はズルい呟きを吐いた。

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