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「何から何までごめんね」  靴を履きながら振り返った宮部に俺はシューズボックスの上にあるトレーから自転車の鍵を取って宮部のやつを渡す。 「何言ってんだ。いつもお前がやってることだろ?」  俺も靴を履くと俺たちは揃って外に出た。 「今日は村瀬くん、夕方バイトだよね」 「あぁ、疲れて帰るから夕飯よろしくな!」  わざとフザけて言ったのに、 「うん、癒せるご飯作って待ってるね」  はにかむその姿はズルい。  玄関の鍵はそのまま握り込んでドアを再び開けて宮部を引っ張り込む。  カシャンと鍵が落ちる音を聞きながら宮部を抱き締めた。 「色々……限界」  堪えながら呟くと宮部もゆっくり俺の背に手を回す。 「……今夜……も……」 「ん?」  語尾はもう小さすぎて聞こえなくて聞き返すと、宮部は顔を隠すように俺にしっかり抱きついてきた。 「今夜も……一緒に寝てくれる?」 「俺は毎日でも」  その首筋に唇を寄せると宮部がピクンと跳ねる。 「わかってるよ。寝るだけだろ?……でも、暴発しねぇようにキスだけさせて?」  顔を覗き込もうとすると宮部はこっちを向いて唇を寄せてきた。  軽く合わせて離れると不思議そうな宮部と目が合う。 「どうした?」 「いや……終わり?」 「ん……これ以上やったら押し倒す。止まんねぇよ」  笑って誤魔化すと宮部は見上げるようにこっちを見た。 「そっか……もう行かないとだもんね」  ちょっと物足りなさそうなその反応に俺は必死に自分を落ち着ける。  時間あったら……いいのか?

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