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58、第7話「手ほどき?」
ラストまでのバイトで最後の客を見送った後、席を片付けてカウンターに戻ってくるとキッチン側に居た創介さんがため息を吐いた。
「何かあったんですか?」
トレーからカップやグラスを置いていると創介さんはチラッとレジ締めをしている佐倉さんを見る。
「何で今日店長居ないかわかるか?」
「え?休みだからですか?」
佐倉さんを気にしつつ声をひそめると、創介さんはニヤリと笑った。
「いーや?休みは昨日だから……ね?さくさん?」
俺が置いたグラスなどをそのまま食洗機に入れていた創介さんはパタンと扉を閉めてからカウンターの向こうから身を乗り出す。
「はいはい。迷惑かけてごめんって。明日はちゃんと来れるはずだから」
パチンと伝票をクリップで留めた佐倉さんは振り返ってフーっと息を吐いた。
意味がわからず首を傾げると、創介さんはトントンと俺の肩を叩く。
「毎日ヤり過ぎて足腰立たなくなったためにお休み!」
「ヤり過ぎって週一かニ……」
え?店長が抱かれてんの!?とか週一かニならまぁ……なんて思っていると、
「……はヤってないよ!」
佐倉さんはショーケースを開けて唯一残っていたモンブランが乗ったトレーを取り出した。
「それって週五か六ヤってるってことでしょ?しかも、一晩で何度も」
耳を疑うような言葉が聞こえてくる。
「喘ぐ姿見たら止まんないよねぇ?」
にっこり笑いながら同意を求められても俺は頷くことも指先さえ動かすこともできなかった。
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