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64、第8話「まさかの」

 自転車を停めて創介さんたちの部屋の玄関へと足をやる。ドアに手をかけると本当に開いていて、俺は中に入って急いで鍵を締めてから階段を上がった。  リビングの戸を開けて「お邪魔します」と一応声をかけると、テーブルから少し離れた変な位置で正座をして縮こまっているメガネ姿の宮部と目が合う。 「あ、琉生くん、悪いな。一応手は出してなかったけど、色々吹き込んだみたいで……《《きっちり反省させる》》から」  俺がやって来たことに気づいた創介さんも振り返って微笑んだが、その真正面に座っている雄吾さんはビクッと肩を揺らした。 「創介、ごめんって!宮くんの反応がよくてちょっと調子に……」 「あぁ、だから、もうその“つい”さえねぇようにしてやるから……な?」  創介さんの真横に来て腕を掴みながら許しを請う雄吾さんに、創介さんは顎を上げさせてから首にあるその革の紐を引く。  創介さんもお揃いでリングを通したそれを着けているのは知っていたが、雄吾さんの紐には更に大きなリングもついていた。 「あ、これは……無理っ!」  怯えたような、でも、雄吾さんはどこか期待するような恍惚とした顔をする。 「琉生くん、さくさんが言ったみたいに焦らすのもアリだけど……煽られて理性ふっ飛ばしたいなら雄吾の部屋行く?」 「は?」  言われた意味がわからなくて首を傾げると、俺の腕を掴んだ宮部がフルフルと首を振ってきた。

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