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フーとゆっくり息を吐くと宮部はチラッとこっちを見る。
やってしまったと後悔に苛まれていた俺はソファーに背を丸めて座り、ギュッと両膝を握った。
「……村瀬くん」
腕を掴まれてそろりと顔を上げる。
宮部は俺の首に片腕を回すとそっとキスをしてきた。
「……え?」
「あのね……その……《《洗ってはあるんだよ》》」
真っ赤な顔で、でも、ふわりと微笑む宮部。
一瞬……いや、何を言われたかよくわからない。
「でも……その先は……怖くて……」
「宮……部?」
戸惑いつつもその事実を確認しようとすると、宮部はチノパンを持って立ち上がってまだ前は留めていないまま片手で俺の手を引いた。
宮部の部屋に入ってゆっくりそのベッドに宮部が腰掛ける。
そっと息を吐くと、宮部はベッドの下から黒い紙袋を取り出した。
中から出てきたのは俺の部屋にだって密かに買ってあったローションのボトル。
「宮部……」
近づいていくと、宮部は少し眉を寄せてこっちを見上げた。
「……シたくない訳じゃない……よ。……でも……ちょっと怖くて……」
その声は僅かに震えている。
「ちょっとじゃねぇだろ……無理すんな」
そんな宮部を抱き締めると、宮部はちょうど当たった俺の腹にすり寄って来た。
そして、ためらうように手を伸ばしてくる。
「宮部っ!?」
スボン越しでもはっきり形のわかる俺のモノに宮部の指が添えられた。
「……キツい?」
呟いて宮部が俺のベルトを外す。
やけに丁寧に……薄暗い部屋でカチャカチャとその音が響く気がした。
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