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「圧迫感?異物感?あるって言うもんな。痛くないなら……こっち集中してろ」
後ろに挿れた指は動かさないまま左手で竿を上下に扱く。
「うっ……ふっ……」
想像以上に艶があって艶めかしいその姿に俺の方が抑えられない。
だが、僅かに身体の力は抜けても指を進めようとするとまたすぐに強張ってしまってそれ以上先には進められなかった。
「村……ん、ちょ……」
不意に手首を掴まれて顔を上げると、いつの間にかその声に呻きが混じってきて眉を寄せた姿も苦悶の表情を浮かべている。
「あ、悪ぃ。痛い……か?」
「ちょっ、と……」
髪を掻き上げてその顔を覗き込むと、宮部は何とか微笑んだ。
それが申し訳なくてとにかく指を抜こうとするが、ギュッと締め付けられていて抜くことさえできない。
「宮部、とりあえず指抜くから……力抜いて」
「ふ……ちょ……わかんない」
涙の溜まったまま抱きつかれて俺も戸惑うことしかできなかった。
うまく導けなかったことが悔しくて情けない。
「宮部、ごめんな」
とにかく抱き締めてそっとその背中を撫でる。
焦らず時間をかけて指をやっと抜くと、宮部は真っ赤な顔で布団の中に隠れてしまった。
ここまで宮部が準備して頑張ってくれていたのにうまくできなかった事実がやけに重くのしかかる。
「……ごめん」
そっと布団の上から手を添えて謝ることしかできなかった。
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