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74、第9話「後押し」

 あれからまたキスをして一緒に寝るだけの日々に戻ってしまった。  一緒に寝ていて当たることはあるのに気づかないフリをしてお互いそこには触れない。  失敗してしまった感が強すぎてもうどうしたらいいかわからなかった。 「……本当、どうすんだよ……うぉっ!!」  昼休憩をもらった俺はスタッフルームに入ってズルズルとしゃがみ込むと、ドアが開いて転がりかける。 「あ、悪ぃっ!てか、何してんの?」  開けたのは創介さんで、バツの悪い俺は立ち上がりつつ目が合わせられない。 「へぇ……悩みごと?」 「……」  中に入って奥のカウンターに出されたスープとオムライスをテーブルに運ぶと、創介さんもグラスとカトラリーを運んできた。 「そういえば……この前、宮くん大丈夫だった?」 「は?」  それぞれイスに座って食べ始めた時に声を掛けられて首を傾げる。 「雄吾が風呂場で洗って解し始めたらしくて真っ赤になってしゃがみ込んでたから」  衝撃なことを平然と言われて咳き込んだ。 「え!?その場に創介さんも居たんですか!?」 「乗り込んで水ぶっかけて服着せたの俺だからな」 「へ……?」  とんでもない情報に頭の理解が追いつかない。 「宮くん、ちゃんと話したんだな。雄吾はしっかりとっちめたから《《しばらく》》大人しいと思うわ」  創介さんは何でもないようにスプーンを動かしている。 「しばらく?」 「あいつバカだからまたすぐ気抜けて酒飲んでやらかすんだわ」  スプーンを持ったまま額に手を付いてため息を吐くその姿がやたらカッコよく見えた。

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