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「で?あの夜そっちは何もなかったのか?」 「へ?」  ニヤリと笑われて手を伸ばした俺はグラスを握って動揺してしまう。 「それまでも洗浄の仕方とか教えてたらしいからなぁ。ま、実演して見せたのはあの日だけだったらしいけど」 「詳しいですね」 「ぜーんぶ吐かせたからな」  その真顔を見て深くは聞かない方がいい気がしてその先を聞くのは止めた。 「で?」 「は?」 「勿体ぶり過ぎだろ?」  またゆったりと創介さんは食事を再開させる。 「……あの……」  俺もスプーンを持ってとりあえずオムライスを突付きつつ言葉を探った。 「ヤッた?」 「いや……」  どう言ったらいいのかもわからないし、言うべきかもまだ踏ん切りがつかない。 「じゃあ……勃たなかったのか?」 「え?」 「琉生くん、ノンケだろ?」  チラッと見られて手を止めた。 「勃たないもんなんですか?」 「さぁ?俺も雄吾もノンケだけど勃つし、店長みたいにさくさん以外女だろうがなんだろうが勃たなくなる人も居るしな」 「はぁ……」 「さくさんはむしろ女だと勃たねぇらしいぞ?萎えるってよく言ってたし」  それぞれの事情を聞いて考えてしまう。 「勃たねぇのはなぁ……」 「あ、いや、勃ちますよ!俺も宮部も!」  いつの間にか勃たない前提で話が進んでいることに気づいて慌てて否定した。 「なら、何?」  どうしたらいいのかわからない以上、これは聞いてしまった方がいいのだろうか?

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