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「……祠堂さん、ここバーでもラブボでもないから。営業中のカフェ」  微笑んでいるものの声は脅すように迫力がある。 「お前が振ってきたんだろうが」 「仕込むとか言い出したのは祠堂さんだよ」  ペロッと舌を出すと、佐倉さんは入口に顔を向けて微笑んだ。 「咲!めちゃくちゃいいタイミング!」 「おいっ!遥斗っ!!」  慌てたように立ち上がろうとする祠堂さんの肩をそっと押して佐倉さんはティーポットを手に取る。 「出過ぎでしょ?替えようか?」 「いや、いい」  ゴホンと口元に拳を当てて咳払いをして祠堂さんはとりあえずしっかりと座り直した。  ポットを持ち上げてカップに注がれる紅茶は確かに出過ぎている。 「そんなの飲んで……」 「今はこのくらいの苦味がいいんだよ」  ため息を吐きながらカップに口をつけて、祠堂さんはチラッとこっちを見た。 「何々?あ、もしかして?」  歩いてきた短い金髪に色黒のよく建設現場とかで見るような男は笑いながら祠堂さんの前に座る。 「はい、よろしくな」  俺のトレーを取られて創介さんからは水とおしぼりの乗ったトレーを渡されて、俺はそのままやって来た男の前にグラスを置いた。 「噂のルイくん、思ってたよりかわいい顔してないか?」 「んー、イケメンじゃん?女の子にモテてきた感じだし」  祠堂さんが同意を求めると男がメニューを見るのを止めてまた俺の話題になってこのまま去っていいのか迷う。  佐倉さんにヘルプの視線を向けると笑いながら腰を叩かれた。

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