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 俺の腕の中で俯いて息を整えていた宮部がゆっくり顔を上げる。  でも、すぐにまた下を向いてサッと俺の背中に腕を回して抱きついてきた。 「宮部?」  顔を覗こうとしてもこういう時の宮部は頑として動かない。 「僕、明後日は……二限で早く帰ってくる、から……」  そこで切って宮部はまた黙り込んだ。  宮部なりに何かを伝えるつもりなのはわかるから、俺もただ宮部を抱き締めてその言葉を待つ。 「……だから……その……」  その首筋まで赤いことに気づいて何となく言おうとしていることは察した。  そんな姿にグッときつつも、さっきまで我慢できなくて押し倒してしまいそうなくらい余裕もなかった俺に冷静さが戻ってくる。 「……ちゃんと、準……備……して待ってる……」  消え入りそうな声で、それでもちゃんと口にはしてくれる宮部を強く抱き締めた。 「バイト……創介さんに替わってもらおっかな」 「だ、ダメだよっ!!」  慌てる宮部がかわいすぎて離せない。 「ちゃんと、バイトは行ってね」  真っ赤な顔で逃げて自分のイスに戻っていく宮部を見て俺もとりあえず自分の場所に戻った。  こっちを軽く警戒している宮部にちょっと笑えてくる。 「もう落ち着いたって!安心してさっさと食って風呂入って来い。洗い物はしとくから」  堪えきれずに笑って俺も食い終わると、そのまま手を合わせてキッチン側にまわった。  見ててやるだけで恥ずかしそうな宮部。  今はこれだけでも満たされるなんて、高校時代いつも一緒だった凛華や武野に言ったらバカにされそうだ。

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