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第10話 僕の忍耐

僕はベッドに寝転びながら、今日の体育を思い出していた。今日は僕の胸は大丈夫だった。大丈夫じゃないのは、僕の心臓だった。サッカーをやる海斗の姿がカッコ良くて、ドキドキしてしまった。 前だって運動の出来る海斗を眺めてカッコいいと思った事は何度もあった。でも今日はそれとは違ったんだ。体操着を使って首の汗を拭った時に見えた腹筋だとか、腕の筋張った筋肉とか…。 それがあの時のベッドの上の海斗を思い出させて、ますますドキドキしてしまった。僕は自分でも顔が熱くなっているのが感じられて、近くのクラスメイトに熱中症じゃないかって心配されるほどだったんだ。 チームの交代で戻ってきた海斗が、僕に頑張れよって声掛けてくれたのは嬉しかったけど、ハイタッチした手が、何だか熱くて自分がおかしくなってるのがわかったんだ。 僕って、もしかして海斗が好きになっちゃったんじゃない?それとも僕が女の子と性的接触した事がないから、海斗としたあんな事で舞い上がってしまってるんだろうか。 僕はサッカーの応援に来てくれていた女子たちを思い出していた。僕はどちらかと言えば女子と話す方だと思う。でも、彼女たちは僕に色目を使うことなんてないし、どっちかと言うとサバサバしていて、うちの姉貴みたいな感じだ。 でも海斗に話しかける時の女子たちは、ちょっと大人しい感じで、雰囲気が違う。それが僕は気に入らないと常々思っていた。自分と違う対応されるのが気に入らないからだって思ってたけど、本当は海斗にそんな色目を使った態度を取るのが気に入らなかったのかな。 僕は目の上に手を置いて大きくため息をついた。もうひとつ海斗に罪悪感を感じてる事があった。あの時あんまりにも気持ち良かったものだから、僕はパブロフの犬の様に、欲求不満が溜まると海斗とのあの時の事を思い出して、一人遊びをしてしまう事だ。 今だって僕は自分の胸を海斗がしてくれた様にぎゅっと摘んで、荒い息を吐き出してしまう。僕の手の中で熱く震えていた海斗自身がありありと思い出されて、僕の下半身もすっかり痛いくらいにエレクトしてる。 こんな事、知られたら終わりだ。海斗にも言えない…。こんな親友、気持ち悪いよね?僕はもう治療は頼まないから、こっそりおかずにする位は良いんだって、どこか自分を納得させて高ぶる身体を慰めたんだ。 ああ、僕がこのまま海斗の親友でいても良いんだろうか。ていうか、側にいて耐えられる?

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