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第12話 何か怒ってる?

黙って僕の前を歩く海斗が何を考えているのか僕には分からなかった。昼休みに二人だけになると、身体のことを聞かれそうな気がして二人になるのを避けてたのが、あからさまだったのかな。 海斗は僕の方を振り向くとボソっと言った。 「何で後ろにいるの。」 僕はハッと顔を上げて、海斗の隣に移動した。僕は今まで海斗と何を話していたのかも、もはや分からなくなって黙っていた。そんな僕を横目で見ていた海斗はボソっと僕に言った。 「なんか、俺のこと避けてるだろ。…やっぱり、うちに来た時の事気にしてる?」 僕は海斗の声のトーンがいつもと違う事に気づいて、海斗を見上げた。 海斗は強張った顔をして、前を見ていた。僕は海斗にそんな顔をさせたくなくて言った。 「違う。僕、海斗にあんな事させて、これ以上海斗の事振り回しちゃいけない気がして…。でも、海斗に胸のこと聞かれたら嘘つけない気がして…。だから二人きりになるのを避けてた。…ごめん。」 すると海斗は立ち止まると、僕に尋ねた。 「あのさ、勝手に俺の気持ち判断すんなよ。はぁ。こんなところで話すには内容がアレだから、家で話そう。」 そう言ってどんどん歩き出してしまった。僕は海斗の家に行くのはどうなのかなって思ったけれど、今の海斗は取り付く島もなくて着いて行くしかなかった。 これ以上海斗と関係を悪くしたくなかったし、僕は海斗のこと好きだったから。親友としても。多分ドキドキするこの胸の高まりとしても…。 玄関を入ると、海斗は前と同じ様に冷蔵庫から飲み物を出すと、僕にグラスを差し出した。 「飲んで。洸太なんか緊張してるみたいだから。別に俺は洸太の嫌がることはやらないから。心配するな。ちゃんと話して、誤解を解きたいだけだから。」 僕は頷くと、冷たい麦茶ごくごく飲んだ。緊張していて喉が乾いてたみたいで、あっという間に飲み干してしまった。 「ごちそうさま。冷たくて美味しいね。」 僕を見つめていた海斗は、急に目を逸らすと部屋に入って行った。僕は二度目の海斗の部屋へ足を踏み入れた。物が少ないせいか殺風景な海斗の部屋は、話題にする様なものも無かった。 僕は全然逃げ道がない状態で、やっぱり緊張してきて実際何をどう話していいか分からなかった。するとベッドに座っていた海斗が僕を隣に座らせて言った。 「…俺、お前の事好きみたいだ。」

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