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第22話 アオハルかよ

僕と海斗は別段前と何が違うって事はなかった。まぁ表面的には。よく考えたら、前から僕たちはニコイチで二人でいる事も多かったし。 でも海斗と気持ちが繋がってから、僕は二人きりになると落ち着かないんだ。海斗とチュウしたいとか思っちゃうし。そんな自分が恥ずかしくて、急に何話したら良いか分からなくなっちゃって黙り込んじゃうんだ。 「どうした?調子悪い?」 海斗が心配そうに僕のこと覗き込むから、僕は申し訳なくなって首を振った。駅まで一緒に向かいながら、海斗がボソッと呟いた。 「あのさ、今週末。法事で居ないんだ。」 僕が、二人が付き合いだして初めての週末に会えないのかと、ちょっと寂しい気持ちになって海斗を見上げると、海斗は僕の顔をじっと見て言った。 「…だから俺のウチに泊まりに来ない?俺一人で留守番だから…。」 僕は目を見開いて、次の瞬間自分でも顔が赤くなってるのが分かった。そんな僕をやっぱり、真顔で見つめている海斗がちょっとだけ掠れた声で続けた。 「…俺、ちゃんと準備しておくから。ちゃんと調べておくし。…洸太は大丈夫?」 僕はもうドキドキが酷くなって、何なら蹲ってしまいそうだった。周囲の生徒たちの騒めきがまるでスローモーションの様に流れていく様で、僕はただ海斗のまっすぐな眼差しに囚われてしまった。 僕は何とか首を縦に動かすと、海斗は嬉しそうにニコって笑って前を向いた。僕はドキドキと自分の心臓の鼓動しか聞こえなくて、ボンヤリと海斗の隣を着いて行った。 駅に着くと、海斗は細かいことはメッセージを送るからとそれだけ言うと、それから普段通りのたわいも無い話を普通にし始めた。僕はろくな返事も出来なかったけれど、僕の駅で降りる時に一瞬海斗が僕の手をぎゅって握ってくれたのがびっくりしたけれど嬉しかった。 窓越しに手を振る海斗に手をあげて、電車を見送ってから、僕はちょっと混乱してベンチに思わず座ってしまった。週末って、明後日だよね?僕は悲鳴でもあげたい気分だったけれど、流石に変人になる覚悟はなかった。 しばらく顔を覆って座っていたけれど、僕はヨロヨロと立ち上がった。そして自販機でフォンタを選んで、甘くて炭酸のキツい刺激を自分に流し込んだ。 ちょっと覚醒した僕は、残りを喉に押し込むと、両思いになるって結構刺激的な事なんだって空っぽの空き缶を眺めながら思っていた。 きっと僕は甘くてキツいこのフォンタを飲む度に、今のドキドキする気持ちを思い出すのかもしれないって思ったんだ。

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