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into u;26;桂
苦しい、って背中を叩かれるまで抱きしめていた。なんてかわいい、なんて愛おしいんだろう!
環がけらけら笑う声が響いた。つられてこっちも笑ってしまう。嬉しすぎたら笑っちゃうんだな、人間って!そのさんは首とか耳が真っ赤になっている。
「…力が強すぎる」
「そう?気をつけないと。潰しちゃう」
「いいなあソノちゃん、うらやましいなあ」
「うらやましいだろ」
そのさんはそう言って隣にくっついてきた。
肩が触れ合う。嬉しすぎる…
「桂はにやけが止まんないね!」
「嬉しすぎて!」
「ふふ、うらやましい!それに嬉しい!わたしはふたりの娘になりたい」
「おー、なりななりな」
うんうん、と頷きながらそのさんは言った。
「あれ、ソノちゃん嫌じゃなかったの?」
「嫌じゃないよ。環がいてくれるのは、しっくりくる」
「そうだね。しっくりくる、って表現がぴったり。本当に理想的なパパのポジションにつけるように、自分を磨こうと思うよ俺は」
環の肩をぽんぽん叩いた。すぐにバシッと二の腕を叩かれた…そのさんに…
「スキンシップ」
「おお……」
眼光が鋭い…
「ソノちゃん、嫉妬いっぱいするんだもんね」
小さくたくさん頷いてる…!
「じゃあ、わたしは今日のところは帰ろうかな」
「いや、ドライブ行こう」
「ドライブ?」
「ソノちゃんとわたし、休みの日はよくドライブするんだ」
「おー!レンタカー?」
「ううん、ソノちゃんの車で」
「車持ってんですか…!!」
「お下がりだけど」
わたしは後ろに乗るね!と環は言って、3人でドライブに出かけた。
連休だし、って言ってあてどなく遠くに行った。都会を走っていたはずが、長いトンネルの先は緑豊かな田舎で、不思議な気分になった。
山道を走って、夕暮れを見て、それからパーキングエリアでご飯を食べた。
環は出るのを躊躇うのかな?と思ったけど、大丈夫!と笑顔で、なにも問題なく3人で食事をした。
帰る頃にはもう10時を過ぎていた。環は後部座席で眠っていた。長いトンネルの先が渋滞で、そのさんとしりとりをしながら過ごした。
「んーーー………」
る、から始まるものが思いつかなくて、眉を顰めながら唸って考えるそのさんがあまりにもかわいい。
「降参?」
「んー……」
「降参だな」
「パス!」
「パスありだったの?」
「あり」
顔を覗き込んだ。
不思議そうな表情をしてる。大きな目は光を映してきらきらしている。
身を乗り出してキスをした。
久しぶりにしたな、と思ったし、こんなに気持ちいいもんだったっけな、とも思った。
そのさんは顔を真っ赤にして、んん、と小さく唸った。
「パスしていいよ」
「運転に支障をきたす」
「そしたら変わるよ、運転」
猫みたいな目を丸くして、それからギュッと細めた。
「……かっこいいと思う」
「ん?なにが?」
「運転、してるとこ」
「俺が?」
「うん、」
手が伸びてきて、指先がそっと触れた。
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