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into u;27;桂
「さすがにそんなヤボじゃないからっ」
とか言って環は帰ってしまった。本当に一緒にいても何にも気にならないのにな、と思ったけど、意思は固かった。
今日のところは俺も帰るべきなのかな、と思ったけど、タイミングを逃してしまった。…いや、わざとそうしたのかも、一緒にいたいと思っていたから
ソファーに並んで座って、なんとなくついているテレビを見てるふりをする。本当は少しくっついてそわそわする膝とか、その膝にそれとなく置かれた手を見てる。
その手に、手を重ねて握ってみる。一回りくらい小さな手だった。驚いたみたいに少し動いたけど、すぐに肩に寄りかかってきた。髪が頬に当たってくすぐったかった。つんとした鼻先が目に入ったから、そこにキスをした。
んん、
って小さく唸った声は、引き金になった。
俺は我慢してたんだな、と思った。何を我慢してるかを具体的に考えることはヤボ、
ソファーに組み敷いて、いろんなところにキスをした。その度に小さい唸り声がする。
それはあまりにも愛おしい。
「苑、かわいい」
抱き潰してしまいそうだな、と思った。
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