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「へえーーーー、すーーーーんごいのろけだねえ」
環はすっごい、満面の笑みを浮かべながら、パックジュースにストローを刺した。
「桂も桂で、よくソノちゃんにセフレがいるってことを許そうと思うよねえ。ねえ、ソノちゃん、わたしは知りませんでしたよ、そんな存在がいるということを」
完全に油断して、環に言ってしまった。
こんなミスするなんてありえない…!けど、言ってしまったもんは仕方ないし…
「さみしい」
「なんでさみしいの…」
「ソノちゃん、秘密あったんだなって」
「秘密っていうか…まあ…そうせざるを得なかったというか…」
「ま、いいや!今日知れたし、秘密」
「でももう会わないよ」
「うん、絶対それがいいよ」
環はジュースを飲んだ。
ぷしっ、と音がして唇からストローが離れた。
「で、今日は桂と会わないの?」
「休みあと4日でしょ?今日は環と過ごさなきゃだし」
「えー?へへ、嬉しいけど別にいいんだよ?気を使ってくれなくても」
「いや、俺が一緒にいなきゃ気が済まないだけだよ」
「へへへ」
環と過ごす時間もものすごく大切。
「明日は桂も一緒でいい?3人で出かけよう」
「えーー!それこそ2人で行きなよ!」
「3人がいいんだよ、俺もだし桂もそう言ってる」
「ほんとかなあ?」
「ほんとだよ」
「じゃあ、最終日は2人で過ごしてね!」
「最終日は先程も言いましたよね」
「あ、そうだ、竹井の飲み会だ。あ〜でも賭けに負けて、ソノちゃんがでろでろに甘やかされるんだねえ!」
「なにそれ」
「一日中好きにさせてもらう、とかさあ………なんかすっごいいやらしいじゃん!!!」
環の目がらんらんと輝いてるように見える。
やめてほしい。
「なに、変な漫画の読みすぎか?」
「違うし。あーーー、にやけが止まらん!!うへへ…とりあえず最終日は別々に過ごさなきゃ」
「なんでよ!飲み会行っちゃうから夕方から1人だよ俺」
「震えて待て、ってことじゃん!ひとりで連絡来るのを待って、その夜からもう始まるじゃんでろでろに甘い一日が!」
「次の日仕事じゃん」
「ぐわーーーそうだった!!!」
環はテーブルに突っ伏した。
「もっと休みたいなあ」
「分かる」
頬杖をついて、大きな目をぱちぱちさせる環は、今日もやっぱりかわいいな、としみじみ思った。
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