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swear;38;環
「飲み会始まったら、まあふんわり近況なんかを話してさ。少ししたらゆきちゃんに話しかけて、一応ほら、俺の事なんか別になんとも思ってないかもだし、様子を伺って、で、彼女いないんだよね?って聞かれたから、最近できたんだって言って、終わり」
桂はお味噌汁を一口飲んだ。
「20時にはここに着いてた」
今、ソノちゃんは絶対にやけちゃうのを堪えてると思う。嬉しかったんだろうな、桂が帰ってきて!
今はソノちゃんちで晩ご飯を食べてる。
桂も合流した。
今日は久しぶりの仕事で疲れたねーってことで、もりもり食べたくて唐揚げを作った。わたしが唐揚げ担当。ソノちゃんは野菜たくさんのお味噌汁と、ピクルスを出してくれた。
「桂、わたしが聞きたいのはその先!何するの?一日中好きにするとか…!」
「一応、今度の土曜か日曜に実施の予定なんだけど、環はどうする?来る?」
「えーー!!行ったら邪魔でしょ!」
「いや、環がいてくれた方が嬉しいよ、俺も…」
ソノちゃんは小さくため息をついた。
「なにするの?」
「パーソナルトレーニング」
「……お?思ってたのと違うなあ?」
「顧問じゃない方の仕事ぶりもお見せしておけばいいかなと思って」
「わたし、そんなに筋肉ないからついていけるかわかんないや…ソノちゃんはできるだろうけど」
負けん気が強いから、すごい頑張ると思う…
「大丈夫!むやみやたらにするんじゃないから。楽しく運動しようってこと!」
「嫌だ」
「そのさん〜!厳しくしないから!!やさしくするから!」
桂があまりにも優しい声で言うから、だいぶきゅんとしてしまった。恋愛モノの映画とかドラマとか漫画みたい!
「いいなあー」
「環もね!厳しくし過ぎないようにするから!」
「もちろん軽い運動でお願いします」
渋るソノちゃんを説得して、今度の土曜日に行くことになった。楽しみ!
桂とソノちゃんを見ていたら、ちょっとした瞬間に目線が合ったり、手が自然に肩だとか腕だとかに触れたりして、すごく羨ましい。
べたべたしているわけではなくて、ただただ自然で、ふたりの関係は尊いなあーって感じ。
今まで、どうせそんなの無理だって思ってたのに、憧れの気持ちが強くなっている。
もしかしたらもしかするかも、
わたしのことを好きになってくれる人が、いなくはないのかも、
いつか、きっと
そうやって思うだけなら構わないよね、って、誰かに弁解するみたいに頭の中でつぶやいた。
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