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swear;43;環
アイスが棒のやつじゃなくてよかった。棒のだったらとっくに溶けてた。勝手に保健室の冷凍庫を開けて、保冷剤の隣に入れた。
「環、これ預かり物」
ソノちゃんは紙袋を差し出した。
コーヒーショップのかわいい袋だった。
「なに?」
「都から。服借りっぱなしだったって」
「あ……ありがとう」
受け取って中を見た。
カーディガンともうひとつ何か入ってる。クッキーだ。ありがとうございました、ってきれいな字で書いてある。きっと当分この付箋は捨てられない。
あの日以来、忘れようと思えば思うほど好きになっていってる気がする。
だから今だってソノちゃんとくっついてて胸が少し痛んだ。
なんならついさっき、渡辺君はテニスコートに来て女の子と話していた。きっとあの子に用があったってことだ。じゃなきゃ、テニスコートになんてきっと来ない。
その話をソノちゃんに聞いてもらおうと思ってここに来たんだった。でも、言うのはやめた。
「環、大丈夫?」
「…うん、大丈夫!あーあ、明日から新学期始まるねー。気合い入れなきゃだよ」
「うん、そうだね」
全部忘れるんだ。
新学期、気分を一新して。
「なにほっぺむにゅむにゅしてんの?」
「え?」
ソノちゃんに言われて気がついた。両手でほっぺを触ってた。
「かわいいかわいい」
頭をぽんぽん撫でられた。
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