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anxiety Xmas;52;苑
もうすぐ冬休み。
今回はうまい具合に9連休になる。環と俺はどちらも実家からは少し距離を置いているから、年末年始はいつも2人で過ごしている。
「今年は、桂とすごしたら?」
環はソファーで丸くなりながら言った。
全身毛布みたいにもこもこのルームウェアで、完全に気が抜けてる様子。
「わたしは家でのんびりテレビでも見るよ」
「いや、桂が毎年どうしてるか知らないしな…ほら、きちんと実家帰る人かもしれないでしょ?」
「そっか、聞いてみないと」
「仮に桂が予定なかったとしても、環も一緒にいよう」
「いつもお邪魔しちゃってごめんね」
「謝ることないじゃん!もう結構この感じになって経ってんだから謝らない!堂々としててよ。ふたりで過ごす時間は日常的に取ってるんだからなにも心配ない」
環の隣に座った。
こっちに体を向けてきたから、肩を撫でた。ふわふわの手触り。お返しと言わんばかりに二の腕を触ってくる。
「…ソノちゃん、がっしりしてきたねえ」
週に3回、桂の勤務先のジムに通っている。
桂も仕事終わりに付き合ってくれて、教えてもらったトレーニングを続けてる。
「環のことは普通に抱っこできると思う」
「おお……」
「なんか、目覚めてしまったかもしれない。無心になれるんだよね、動いてたら」
「すごすぎる」
「また環も一緒に行こ」
「えー、やだ」
「たまにはいいじゃん、付き合ってよ」
「バランスボールか、自転車漕ぐやつしかしないよ」
「いいよいいよ、一緒にやろ」
「今度はいつ行くの?」
「火曜。行く?」
「いかない」
「なんだそれ」
「へへ、急だし」
「急って、今日土曜でしょ?しあさってだけど」
「んんー、冬休みにする」
そう言いながら、環は立ち上がって伸びをした。ぐうたらなやつめ。
「ソノちゃん、この後どうする?」
「どっか行く?か、だらだらすんのもいいね。映画観る?暗くして、ピザ頼んで」
「最高じゃんそれ!そうしよそうしよ」
立ち上がって、環をガッとつかんだ。
それからいわゆるお姫様抱っこをした。軽い、持ち上げられる!
ぎゃーぎゃー言うのを無視して、そのままスクワットした。
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