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anxiety Xmas;56;桂

そういえば、テニス部はあの文化祭のあと中途入部者が増えた。正直、あの環を見て入ろうと思ったんならすぐに辞めるだろう…と思ってたけど、そんなこともなくみんな頑張って練習している。 環もたまに見に来ては「なんか分かんないけど、文化祭のあれもやった甲斐があったね!」とにこにこ言っている。 「クリスマスも練習するの?」 帰り支度を終えて、環と正門を出た。 「今年平日だから、普通にやるんじゃないかな。でも、早めに終われるようにするか、部長と相談してみるよ」 「桂、デートしなきゃだもんね」 眩しいくらいの笑顔を向けられた。 「クリスマスのデート、どんな感じ?」 「なんだろうねえ…イルミネーションとか見て、ご飯食べて」 「ソノちゃんと毎年やるやつだ。ご飯はドライブスルーだけど」 「……そのさんと環は家族じゃん。ねえ?デートって言っちゃうとほら、ちょっと、」 「嫉妬しちゃう?」 「する」 「えー?へへへ、なんでか分からないけどうれしい!でもちゃんと心得てますから。ふたりでデートしてきてね」 「3人でパーティーしようよ!ホールでケーキ買ってさ」 「嬉しいけど、ソノちゃんとデートしてきて!今年はお譲りするから、ソノちゃんのこと」 環は前を向いた。 「今年は、思い切っていい値段のクリスマスコフレ買ったんだー、アドベントカレンダーになってるやつ!だから、もう既にわたしのクリスマスは始まってるわけ。で、イブはちゃんとメイクして、夜にね、映画観に行こうって思ってるんだー」 そのさんと一緒にいなくても、1人で、女の子のスタイルで出掛けられるようにしないと……って、無理をしているんじゃないか?そう感じてしまった。 そうしていきたいんだ!って思っているのかもしれない。 けど、もし俺とそのさんが付き合っているから、って理由で思い始めたんだとしたら、心配になる。苦しい思いをしてないか? 俺は環にも居心地よくあって欲しい。 「完璧なメイクしたら、写真送りつけるね」 「保存しよ」 「何用ー?」 「癒しを求める時に見る用」 あはは!って大きく笑う唇は半月みたいな形だ。 「じゃあ、しっかり可愛くならないとだなー」 もう充分かわいいよ、って口から出かかった。 なんとなくそれは言わないでおいた方がいいのかもしれない。 環の頭に手を伸ばして、思いをたっぷり込めて撫で回した。わんちゃんじゃないんだから!って環は言った。

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