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anxiety Xmas;61;桂

そのさんからのメッセージを見て、うきうきしながら保健室に向かった。ノックして意気揚々とドアを開けたけど、全然そういう雰囲気じゃない。 で、そのさんからどうして都が(環も)こんな落ち込んでいるのかを教えてもらった。 色々とびっくりしたけど、学祭の日もふたりでどっか行ってたし、思い返せばなるほどなと思った。 話の内容を聞くと、逆になんでここまで落ち込めるのかが俺には理解できない。 単なる勘違いの話じゃないのかな…? 「桂先生もさあ、よく考えたら昨日、なんか言ってたよね、夏目先生と好みがなんとかって」 「そうだ、なんか言ってたね」 都もそのさんも、視線が鋭すぎる… 「まずは環と都がそんなことになってるって知らなかったのが前提ね」 これ、かなり重要。しっかり2人の目を見た。 「ここ来る前に、職員室で竹井と話してたんだよ、俺が。そこに環が来て…ほら、竹井と環って同期だし、2人とも教科が英語だしで仲良いでしょ?なんかほら、男友達同士のスキンシップってあるじゃん。ノリというか…そういうの環は嫌じゃないの?って話をしてたんだ」 「好みだの遊ぶだの言ってなかったっけ?」 「あー、なんだっけ…竹井は触り方が雑だって言うから、優しかったらいいの?ってなって…多分それで竹井が好みかどうかみたいな話になった気がする」 「竹井先生か……どうやって一発入れるか」 「大丈夫だから入れなくて!!あいつの好みは環みたいな雰囲気の子じゃない」 「待って、桂先生と竹井先生はどういう関係なの?」 「なんか、飲みに行ったり」 「あーーー、なるほど、そういう感じだ。竹井先生、どんな女の人狙うの?」 「まあ、あれだね、明るくて飲みっぷりも良く、可愛くてスタイルいい」 「竹井先生ーって感じだね。じゃあ桂先生はどんな人狙うの?」 「俺?俺は別に、そんながつがつしないよ。ただその時楽しく飲むだけ」 「嘘つくなよ」 そのさんから恐ろしい波動を感じる…… 「いやいや……」 「どんな女性が好みなんだろう関野先生は」 「そのさん、」 高圧的な視線が刺さる…でも、それさえも可愛く思えてしまうのはどうしてなんだろう? 見開かれて更に大きくなった目は、怒ってる猫みたいにまんまるになって、そのさんにもししっぽがあったら、ボワッと膨らんでると思う。毛を逆立てて、唸って、 「かわいい」 「可愛い感じの人が好きなの?」 「そうだよ。都、見て?そのさん」 「ソノ?…ガン飛ばしてるけど」 「うん。怒ってるでしょ?ほんとかわいいよね。いつもかわいいけど、怒ってもかわいい」 「桂先生、ちょっと何言ってんのか分かんないんだけど」 「俺はそのさんが好きなんだよ。何を言われようと、もう俺はそのさんから離れない。それくらい好き。言っちゃったよ!でもいいよね、そういう話するために呼ばれたんだから」 開き直った。 そのさんは真っ赤だし、都は小さいこどもみたいな満面の笑み。 「はあーーーー!なんだよ、ソノいるんじゃんか!!夏休みの時は、好きな人いるけど忘れようと必死だとか言ってたくせにっ」 「あーあーあーあーあー」 「ソノ声でかいって!」 「そのさん好きな人いたの…」 「あんたのことだよっ」 もう堪えられなくて抱きしめてしまった。 かわいいんだほんとに! 「いちゃつくな!!俺は失恋してんだ今っ!!」 そうだそうだ、だから、都と環の話をしに呼ばれたんじゃん俺。 「失恋してないでしょ、都は」 都の真っ黒い目を見つめた。

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