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anxiety Xmas;62;桂

「試作の指輪見て、環が一方的に勘違いしただけでしょ?だから、それで済む話じゃん」 「でも、夏目先生はもう、なかったことにしようって」 「環から聞いたんじゃないから予想でしかないけど、そう言わなきゃやってられなかっただけじゃない?そんなすぐに切り替わらないよ」 「そうなのかな、」 「そうだよ。でももし俺が都の立場だったら、すぐに動く。卒業まで待たない。誤解を解いて、だから待っててほしいって改めて言うよ。すぐに切り替わらないとはいえ、なにがあるか分からないし」 都は小さく唸った。 「環と話したいとは思わない?」 「不安、かな…話したら、本当に終わりそうだから」 「終わらないよ。大丈夫」 背中をぽんぽん叩いた。 「そのさん、今日はジム休んでもいい?」 「いいよ」 「ありがとう。都、部活終わる頃までここで待っててよ」 「……分かった」 「え、ずっといんの?」 「そのさんと他愛無い話してさ、リラックスしながら待ってなね。じゃあ、そろそろ部活行ってくるね。あ、都」 「なに?」 「環に、指輪のこと言っちゃっていいの?」 「……や、自分で言う」 「うん、分かった」 手を振って保健室を出た。 環と都か。 うまくいけばいいなと思う。 ふたりにとって心地いい関係になれたら。

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