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anxiety Xmas;70;環
クリスマスコフレの詰まったアドベントカレンダーを全て開け終えた!これをフルに使ってテンションを上げて、クリスマスイブの今夜、桂に宣言した通りに映画を観に行くことにした。
メイクは少し濃いめにした。うるさくならないぎりぎりのところ…でも、ゴールドのきらきらしたのを少し瞼にのせて、いつものメイクより華やかにした!
ミニサイズのオードトワレはバニラとシナモンのいいかおりがした。内ももと胸元につけた。パールのイヤリング、ニットワンピース。髪はウィッグなしでセットした。
映画は、主演の俳優さんが好きだからって理由で見る作品を選んだ。
支度に時間がかかってしまって、少し映画館に行くのが遅くなった。
もう予告編が始まっていて、暗い。
こそこそって頭を下げながら座っているお客さんの前を通って席に座った。
右隣にはお客さんがいて、左隣は空席だった。
映画は面白いし、もちろん主演の俳優さんはかっこいい。知的な雰囲気があって、それでいて甘い顔をしている。そしてアクションもできる……万能だ…かっこいい……絶対パンフレット買って、あとグッズも買う。それから映画の中で食べてたチョコバーも買って帰ろ。
見終わって明るくなったら、なんか晴れ晴れした気分だった。
席を立って、左側を向いた。何人か座っていてまだつっかえてる。右側を向いた。
「あっ、」
渡辺君だった。思わず声が出てしまった、
どこからどう見てもそう。だって制服だったし、見間違いようがなかった。なんでいるの?
渡辺君は素早く立ち上がって体を引っ込めた。
「ど、どうぞ」
目は合わない。当たり前だ。
わたしが隣にいてうんざりだろうな。
ゆらゆらする視線。それから目が合う。
「なんで、いるの」
「…え?あ、ごめんなさい…!あの、あー、ひ、ひとりですか?」
「……え?」
「お、おひとりで来られたんですか?」
「……ばかにしてる?」
「え!!そんなんじゃないです!ほんと、ただ…なんか、その、」
「忘れようとしてるのにどうして、」
切れ長の目が大きく開いた。
「…どうしているの、」
唇は何か言いたげに少し開く。
「あ……あ、」
ひとりでこの格好で出かけるの、やめとけばよかった。
「あの、そろそろご退出をお願いしても宜しいでしょうか」
スタッフの人に声をかけられて、頭を下げて慌てて外に出た。
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