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anxiety Xmas;73;都

たまき って声に出すのにめちゃくちゃ勇気が要った。 でも夏目先生は頑固らしいし、嫌われて二度と口聞いてくれなくなってもいいや!くらいの強引さで攻めた方がいいと思った。そうでもしなきゃ、きっと後悔する なんていうか今日の夏目先生は、本当にいつもとは全然違う。 映画館で姿を見た時は、まさか先生だなんて思わないで普通に声をかけてしまった。こんなことしたの初めて。 メイドさんの格好してるときもすごい可愛かったけど、今日はそういうのとも違う。 メイクをしてるから?それに体のラインが見えるようなワンピースを着てて、それがすごい、スタイルのいい女の人に見えた…だからかな… ……一瞬でも胸に目がいった自分を殴りたい…みたいな…若干そういう自己嫌悪感もある… とにかく、今もう手をがっつり握って離さないぞって気分だ。駅まで歩くのに、わざとゆっくり歩いてる。 誤解は解いた。待ってるって先生は言った。 卒業まで油断ならないけど、きっともう大丈夫なはず。離さないように、俺もますますしっかりしなきゃ。 「都くん」 隣を見た。………好きすぎる。大好きすぎて頭おかしくなりそう。 「パンフレットとかもらっちゃったから、お礼させて」 「え、もうこうやってるだけで充分だよ」 「そんなわけないよ、なんかいいのないかな、欲しいものとか、ない?」 「卒業したら恋人になるんだから、それでいいよ。環は俺のものだ!……」 夏目先生はかちかちに固まった。 「引いた?ごめん、調子乗りました…」 「へへ…笑っちゃった……でもなにかお礼したいよ」 「じゃあ、お揃いのなにかがいい。指輪は指輪で作るけど、ちょっと時間かかるし」 「指輪作るって、すごいね…!さすが美大生」 「それ、ソノにも言われた」 「あはは、一緒だ」 「ソノと環はどれくらい仲良いの?」 「どれくらい…?うーん…最近はまちまちだけど、休みの日は大体ソノちゃんと一緒にいるかなあ。出掛けたり」 「この感じで?」 「うん」 「……絶対ソノが彼氏だと思われるね周りから」 「あー…」 環はくすくす笑って、少し鼻先を擦った。 その仕草さえも抱きしめたくなるくらい可愛い。 「桂がね、ソノちゃんとわたしでご飯屋さんに入るところを偶然見たんだって。ソノちゃんには彼女いるんだーって勘違いして、桂もソノちゃんも両思いだったの…に………あれ…これって言っていい話…?」 急に目をぱちぱちして、しまった…!みたいな顔をした。覗き込むように目を見た。 「ソノと桂先生?」 「……聞かなかったことにしてほしいかな…」 「知ってるよ!桂先生が堂々と言ってた」 「おー…!」 「それで、桂先生は環を彼女だと思ったの?」 「そうそう。拗れかけたけど、今やあんなに仲良しだもんなあ。うらやましい」 手をにぎにぎして、向かい合わせになるように立った。空いている手でほっぺに触った。 瞼がきらきらしている。長い睫毛は少しグレーに見える。耳元で揺れるのは、ピアス?イヤリング?指先で触れた。キスしたい、マフラーで半分くらい埋もれた唇を見て思う。 「今からいっぱい仲良くなるでしょ?」 「ん…うん、」 「羨ましいとか言ってられなくなるから」 顔を近づけた。 「したい、」 …心の声が漏れたー…… 格好悪い…でも仕方ない、だって環は可愛い。胸が苦しくなる。呆れられたかな、 環はマフラーを両手で掴んで、鼻先までひっぱり上げた。それから、 「んん、」 マフラー越しにキスをした。 間違いじゃないと思う、完全にキス! しかも環から、 「嬉しい…!」 「ごめん、マフラー汚しちゃった、」 嬉しすぎて、これ以上言葉にならない! ぎゅーってくっついた。されるがまま、環は腕の中にいる。 「今のは、キスじゃないから」 「そうなの?」 「そうだよ」 「そういうことにしとこ」 「あ、お揃いのなにがいい?」 「今ので充分だよ!すごい幸せだよ今!」 「……じゃあ、わたしが欲しいからお揃いの、そうだな…まだ卒業まで日があるから、」 「え!!待って、また距離置こうとしてる?」 「違う違う!……へへ、なんか今すごい、都、かわいかった」 環はくすくす笑った。 「まだ授業あるでしょ?だから、お揃いのペンとか!」 「最高じゃん…!学校で堂々と一緒の使える!」 「でしょ?……んー、でももう遅いからお店閉まってるね…」 そうだ、もうだいぶ遅い…!! 「だから、明日仕事終わりに用意するね。それで、ソノちゃんに渡しとく」 「なんで!?環からくれないの!」 「早く渡すには、明日の夜買うでしょ?ソノちゃんに渡して、明後日保健室でソノちゃんから……あ、終業式だ…」 「じゃあ会えるんじゃない?終わってから保健室で待ってるよ」 「うん、」 「環、すごいソノのこと頼りにしてるんだね」 「お兄ちゃんみたいなもんだから」 「……本当にお兄ちゃん?恋人じゃなくて…ソノにさえ嫉妬しそうだよ俺」 「なんでー?あはは、ソノちゃんに今の言おう」 環が笑うと、どうしてこんな幸せな気分になるんだろう?無理な話なんだけど、俺にだけ向けてほしいと思ってしまった。

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