74 / 120
anxiety Xmas;74;苑
24日夜。
『そのちゃん、メリークリスマス☺︎
いろいろいろいろあって、渡辺君と仲直り?しました。聞いてほしい話がたくさんある!!明日の夜行ってもいい?今日は我慢するね!返信もいらないよ☺︎取り急ぎの連絡でした。
桂とのクリスマス、たのしんでね!』
シャワーから出てスマホを見たら、環からメッセージが来ていた。
……なにがあったかものすごい気になるーー…
「そのさん、なににやにやしてんの?」
後ろから抱きすくめられた。
ぽかぽかする。
「環と都はうまくいったらしい」
「おおーーー!!なんで?だいぶ大変そうだったのにねえ?」
「不思議だよね…明日の夜に詳細発表してくれるって」
「え〜!明日の夜なんだ」
「うん。今日は気を遣ってくれてるんだって」
「そっかそっか。じゃあお言葉に甘えてふたりでゆっくりしよう」
触り方がそういう感じ…!
出すつもりのない声が出る…がっしりした腕を叩いた。
「さっきやった!」
「いいじゃん、もう一回だめ?」
「んん……」
「だめ?」
かわいい。
や、かっこいいんだけど、全部かっこいいのにこんな、甘えてくる時はかわいいなんてずるい。抵抗しようにも抵抗できない。
「シャワーしたのに、」
「またしたらいいよ。それか明日出勤前にしようよ一緒に」
「朝から一緒にシャワーなんかしたら遅刻する!」
「我慢できなくなるから?」
……そんなつもりで言ってない!…と、言いたいけど、言い切れないところはある…
「ねえ苑、我慢できなくなるの?」
体を反転させて、ぶつけるみたいにキスをした。
○○○
朝、目が覚めたら裸のままだったことに気づいた。若干体が怠い。
隣には誰もいない。
「そのさん、おはよう」
桂がこちらに来る。いつでも外に出られるくらい身支度が済んでいる。もうそんな時間…?
「何時…?」
「まだ6時。大丈夫だよ、余裕あるから。一緒にご飯食べよう!適当に作っちゃった」
「ありがとう」
布団の上に、昨日脱ぎ散らかした服が畳んで置いてある。恥ずかしすぎるんですけど!
下着に手を伸ばした。
「え、」
左手の薬指に、指輪がある。
「桂、これ」
「気がついた?クリスマスプレゼント。しかも勝手にお揃い」
桂は手を差し出した。
たしかに同じ指輪がある。黒くて、見る角度によっては青みがかって見える、すごいきれいな指輪、
「着けるときに起きちゃわないか心配だったけど、ぐっすり寝てたからよかったよ。いっぱい疲れさせた甲斐があった」
顔がぐわー!ってなる…
桂はベッドの縁に座った。
「メリークリスマス」
抱きしめられた。
桂は服着てるのに俺はだかじゃん…!
恥ずかしさに拍車がかかる…
「指輪とか、嫌じゃない?」
「うん、嫌じゃないよ」
「よかった。これからも楽しく過ごしましょう、そのさん」
「俺、プレゼントとか何も」
「昨日そのさんのことたくさん貰ったから充分だよ!まだ今後も貰い続けるからね、そのさんのこと。いい?」
甘すぎる声色に、脳みそが溶けるんじゃないかって思う。
「苑」
腕を広い背中に回して、ほっぺたに唇を押し付けた。
ともだちにシェアしよう!