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anxiety Xmas;75;苑
桂から貰った指輪は、流石に勤務中につけるのはなんとなく気恥ずかしい。だから、桂の勧めで首から下げている。シャツのボタンをしっかり閉めて、見えないように…
素肌に指輪が触れている。よく分からないけど、かなり嬉しい。モチベーションが上がる。
今日は木曜日の昼過ぎで、生徒達は午前で終わり。昨日の余韻に浸りながらのんびり事務仕事しようかなーなんて思っていたんだけど、
「都、なんでお前はここにいるんだ」
「言わなきゃだめなことが死ぬほどあるからだよっ」
もう知ってる話かもしれないけどね…
「じゃーん!!見てっ」
スマホの画面を向けられた。
都と…環!
「え、可愛い。このメイク初めて見た。結構濃いじゃん…似合うな…」
「…マウント取るのまじでやめて。だめだからほんと、環はもう俺のものだからそういうかたちでマウント取るのはほんとになし」
「素直に思ったことを口にしただけですけど?環がメイクしてるとこ何年見てきてると思ってんの」
「それ!!そういうのがだめなんだってば!!」
「それと、まだ夏目先生と呼べ」
「だって昨日は名前で呼んだし」
「まだ環はお前のものじゃない。っていうかどうであれ環は誰のものでもないからな!!」
よかったじゃんって思うよ?
思ってるけどこうも複雑な気分になるとは思わなかった…!写真でガッツリ見せられたからかな…俺の元を去っていくのか…みたいな気分になっちゃったんですけど、これってなに、親心…?
「でも待っててくれるってちゃんと言ってくれたしね!…こうなれたのは、ソノのおかげだよ」
「なにが?」
「こうやって夏目先生となれたの。ソノに相談したり泣きついたり、お泊まりしたりお風呂入ったりヌードデッサンしたからだと思う」
「やめろ」
「俺は環さんとお付き合いさせてもらう身ですけど、ヌードデッサンはまたさせてね」
「しないから」
「えーーーいいじゃん。桂先生でもいいけど」
「だめだめだめだめだめ」
「でしょ?じゃあソノが脱ぐしかないじゃん」
「なんなんだよ!」
ほんとこいつはわけわからんことを言うよな…
都はへらへら笑いながらスマホの画面に目を落とした。
「ソノ、この写真先生に転送してくれる?」
「なに、連絡先交換してないの?」
「うん。まだ先生と生徒だし」
「俺も先生なんですけど!!」
「ソノは別枠じゃん」
「なんか喜べないわー……」
「へへ、いいじゃん」
ため息を吐きながら、写真を環に送信。
『都、保健室に居座ってるよ…』
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