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締めのホームルームが終わったらすぐに保健室に行った。それから、ソノにさっき友達から聞いた話をそのまました。 「環に彼女ねえ」 「いないっつうの。もうほんと環のこと色々話すのやめてほしい。かわいいとか言うのもほんとやめてほしい」 「……ちょっとお前やばい奴になりかけてるから注意した方がいいよ」 「うーん……あ、あとさあ、なんか…なんか竹井先生と手繋いでてめっちゃイラッとしたんですけど!…………だめだ…俺は精神が弱い…」 「なんだそれ」 「そういうシーンを見ても、ふーん、そっかー!くらいの強靭なメンタルがほしい…ソノはさあ、桂先生が知らない人と手とか繋いでるとこ見たらどうすんの?」 「桂は仕事柄いろんな人の体に触るじゃん。ジムのインストラクターだから、ここをもっとこうしてーとかさ。だからなんか、慣れたね」 「えー……」 「仕事じゃなくて、俺とプライベートでジム行っても、普通に話しかけられちゃうしね、お客さんから」 「嫉妬しないの?」 「してたよ。だけど、桂はちゃんと俺を見てくれてることも分かってるし、もし他の人の方がいいと思っても、その時は桂の幸せを優先したいって、思えるようになった」 「大人じゃん」 「大人だよ…っていうか俺のことをなんだと思ってんだお前はっ」 「一緒に寝た関係じゃん。お風呂も入ったし」 ソノは椅子の背もたれにだらーっともたれて、顔を両手で覆った。 「お前といたらほんとペースが乱される」 「また行くね」 「もう来なくていいから」 「えー!卒業したらもっと堂々と行けるって思ってんだけど」 「思うな!あともう帰れよ終わったんだから!」 「環のこと待ってるんだもん」 「夏目先生って言え!」 ノックの音がして、ドアが開いた。 「失礼します…あ、」 環だ! すぐ走ってってハグした。 「わ、渡辺君」 最高すぎて語彙力が喪失する。 「待ってた、会えるの」 「う、うんうん…ちょっとでも、ほら、離れよっか、学校だしだめだよ、」 体から離れた。 顔が真っ赤になってる。 「これ、パンフレットとかのお返し」 小さな紙袋の中には、きれいに包装された箱が入ってる。 「ありがとう!」 「好みに合えばいいんだけど」 「環から貰ったものならなんでも好きだよ!」 ソノのため息が聞こえた。 「まだ便宜上付き合ってないんだろ?都、まだ先生って呼ぶ癖つけとかないと、変な感じになりそうだから気をつけろよ。環のことを考えて行動しろ。環も今は我慢」 「分かった」 環はこくこく頷いたあと、「あ、」って顔を上げてソノを見た。 「今日、今からテニス部のお疲れ様会なんだけど、竹井に仕事終わった後飲みに行こうって誘われて…桂とわたしとで…多分ソノちゃんにも桂から連絡来るとは思うけど、取り急ぎお知らせしに来たんだ。行ってもいいかなあって、桂が心配してた」 「なんで心配?いいよ行ってくれて」 「今日はふたりですごす予定だったんだけどな…って言ってた。明日はソノちゃんちから出勤する予定だったんだー!!ってロッカーで頭抱えてたよ?」 「あー…いや、気にしないで行って。…って言っといて」 「ほんと?じゃあそう伝えとくね!3人で行くのは初めてだ」 「楽しんでおいで」 「うん!明日から休みだと思うと、既に気分がいいね…!!今日は一旦帰って、明日ソノちゃんち行くね」 「今日から来てもいいけど」 「遅くなるかもだよ?」 「迎え行こうか?」 「え、いいの?」 「いいよ。場所送ってくれたらそこまで行くから」 「へへ、ありがとう」 ………俺はまだ、ソノみたいに構えていられない。さっき竹井とこそこそ話したり、手握ったりしてるの見たばっかだし。それにソノもソノで、迎えに行くとか…!でもそれはいいのか。その方が安心だし…… それにしても感情を抑え込まなきゃいけないのに、ちょっと漏れちゃってる気がする。 「都」 「ん?」 「黙ってるけど」 「…だね、黙ってるね」 ソノは背中をぽんぽん叩いてきた。 「大人じゃん」 「大人じゃない」 「言えよ、思うところあるなら」 「……夏目先生」 「な、なに?」 夏目先生の顔を見た。 少し戸惑った顔をしてる。 なにをどう言えばいいのか分からない。 なんで竹井と手繋いでたの? なんで竹井と飲みに行くの? ………こんなん聞いたら束縛強すぎるなこいつって思われそう… ソノみたいに、信じればいいんだ。 自分だけを見ててくれてるって、信じれば…… 「また、」 「ん?」 「また来年会えるの、楽しみにしてます」 「え、…あ、そっか、そうなるね、」 「次会うのは2週間後くらい」 「2週間……風邪ひかないように、元気に過ごしてね」 ……めちゃくちゃ苦しいじゃん。 まだ付き合ってるんじゃないって分かってるつもりだけど、つらい。 でもこんなことでいちいちつらいなんて言ってたら、やってけないんじゃないかって気もする。 会えない間は気を紛らわせながら待つしかない。

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