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名残惜しそうに体が離れるのは、見ててこっちまで切なくなる…… 環は急いでテニス部に戻って行った。 「…都、すげえ大人だったじゃん」 「そう?ほんとありがとう…ソノいなかったら、俺お通夜みたいな正月になってたかも」 「それは大袈裟すぎじゃん。家族でゆっくり過ごすでしょ」 「今年、誰もいないんだもん」 「え、なんで?」 「受験生じゃん?だから、3年になった時点で、どうせ年末年始も勉強しなきゃだなって思ってたし、ふたりで旅行でも行ったら?って言ってたんだ」 「すご」 「まさか夏休みで決まると思わなかったから、シンプルに1人で年越し」 「一緒に行けばいいじゃん」 「もう増やせないもん。めちゃくちゃ予約取れない超いい旅館予約したからねー母さん」 「……来る?」 「ん?」 「勉強しなくていいから1人でいる必要ないでしょ?年越し、さみしくない?」 「さみしいよー!でもいいの?」 「親御さんに話しといて。そして内密にお願いしたい」 「ソノーーーー!!」 めちゃくちゃハグされた。 「今電話する!」 都はすぐにお母さんに電話をして、俺もその場で話をさせてもらった。 物腰柔らかで感じのいい方だ。 すぐに話がついて、都は大晦日の晩から3日まで、うちに来ることになった。 「楽しみすぎて死にそう」 「生きて」 「ソノと一緒、嬉しすぎる!また一緒にお風呂入ろう〜」 「俺だけじゃないけどね、いるの」 「え…?まさかご両親とか…」 「じゃなくて、環」 切れ長の目が丸くなった。 「………嫌がられないかな…」 「大丈夫大丈夫」 椅子に座り直した。 都も近くの丸椅子に座った。 「俺さ、環には、都と付き合うことを反対するとまではいかないけど…一応、生徒と教諭でしょ?って強く言ってきたんだよね。だからかなり我慢してると思うんだ。だいぶ緩んではきてるけど…だから、なんていうのかな…さっきみたいに都に対してハグしたりするの見て、安心したと言いますか…」 「安心?」 「うん。なんかすごい、よかったって思った。俺も環も、誰かとこんなふうになることを諦めてたから」 半年前くらいまでは本当に、ふたりで支え合っていこう、くらいの感じだった。 「都には、感謝してる」 「……なんか分かんないけど泣けてきた」 「なんで?」 「俺もソノがいてくれてよかった!じゃなきゃ多分、ただ片思いのまま終わってたと思う」 「たしかに、はじめのうちは多くを語らなかったもんね」 「うん。自分の心の中だけで留めるつもりだったから…へへ、年越し一緒に過ごせるとか凄すぎ」 「俺いるけどね」 「ソノがいて、夏目先生とも一緒にいられてっていうのがいいんじゃん」 「……なんか分かんないけど泣けてきた」 「え〜なんで〜」

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