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ドライブに行くか悩んだけど、ソノちゃんは都くんと話してる間に気分も切り替わったみたいだったから、行くことになった。 都くんは、ソノちゃんと気が合うというか、なんかこう、すごくフィーリングが合ってる気がする。とはいえ言わなくていいことまで言うんだから困る… 出発はお昼過ぎになった。 助手席に乗ろうとしたら後ろに行きなって言われて、都くんとわたしは並んで後部座席に乗った。 途中でドライブスルーでハンバーガーを買って、車で食べた。それだけでも楽しい! 都くんはポテトを3本くらいつまんで、運転するソノちゃんの肩を叩いた。 「ソノ、あーん」 身を乗り出して、ソノちゃんの口元にポテトを運ぶ。ソノちゃんは素直に食べさせて貰っている。ほっぺがもぐもぐ動いてる。 「環もあーんする?」 都くんが顔を覗き込んでくる。 「自分で食べられるから大丈夫だよ」 都くんとわたしの間に置いている袋から、ポテトを取って口に運んだ。 「食べさせて貰えばいいものを」 ソノちゃんとバックミラー越しに目が合った。 「…両手空いてるし!」 「都、環の両手押さえとけ」 「うん」 両手を握られた。 「待って、俺も両手塞がっちゃうからなんもできないんだけど」 「…あー」 「口移ししよっか?」 「やだよ!!」 「あ、環、もういいから。都が泊まりに来てる間はもうなにしても無かったこととして扱うからいいよ。心置きなくどうぞ」 「いやいやいやいやいや」 ……やっぱりソノちゃんと都くんが一緒だと、なんかそういう感じになっちゃうんだよなあ… 「んっ、」 普通にキスされた。 「家帰るまでに何回するか数えとこ」 「あ!賭けする?」 都くんは身を乗り出して、運転席のシートに寄りかかった。 「じゃあ100回以上したらコーヒー奢って」 ソノちゃんなに言ってるんだ 「万が一100回満たなかったらどうすんの?」 「ケーキ奢ってもらう」 なんでどちらにしてもソノちゃんが奢ってもらう感じになってんの… 「あーあソノ、ばかにしてもらっちゃ困るよ。できるから。100回とか余裕なんで」 この人たちはなにを言ってるんだろう? 迫ってくる顔を手のひらで防御した。 「これから1回もしなかったら、ソノちゃんも都くんも、わたしに特大のパフェを奢って下さい」 「都、キスしろ」 「うわっ、や、ちょっと待ってっ!!よく考えて!」 「え?」 「都くん、今の話だとどうなったって奢ることになってるよ?」 「……ん?」 「100回以上でコーヒー、100回未満でケーキ、1回もしなかったらパフェ、を、都くんが奢る」 「……あれ?俺はなに貰えるの?」 「今のところ都くんはなにも貰えないよ?」 「ええーーーー」 「ばかだなーほんと。都のそういうところが俺すごい好き」 「ちょっとソノ、信じられない!」 都くんはぶつぶついいながら、背もたれにがっぷり寄りかかった。その姿がすごく可愛らしく見えて、思わず手に触った。指輪のある左手に 日が傾いてきた頃、スマホが立て続けに鳴った。手に取って確認する。 『お疲れ様!』 『今ってどこにいる?』 桂から! 『今、車だよ!』 『もうすぐドライブコースに入るとこ』 すぐに既読が付いた。 『電話できる?』 『ちょっと今微妙かも、そのちゃん目の前で運転してるから』 『だよね…取り急ぎ文面で!今新幹線乗ってて、もうすぐ戻るところ。そのさんの家に20時には着けると思う』 「えっ、」 思わず声を出してしまった。 「どうした?」 「なにもない」 都くんの膝をとんとんした。こちらを向く。スマホを手渡した。都くんは画面を見て、それから少し目を見開いた。で、少し操作した。それわたしのなんだけど……戻ってきたスマホを見る。メモ画面になってる。 『年越しって外でだよね?』 頷いた。 『桂先生やばいじゃん。返信する?』 手を伸ばしてスマホを受け取った。 『帰らないよ、って言うの、微妙だよね?今会えるなら会ったほうがいい気がする』 手渡した。 『その泣いてたもんね。トイレ行く!って言ってどっか寄って貰ってる間に電話できる?俺そのと一緒に車から出るようにする』 顔を見合わせてこくこく頷き合った。

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