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mess up;104;環
色情狂だ。
どうして「だめだよ」ってはっきり断れないのか…それはわたしが、都くんのことを狂おしいくらい好きで、都くんの欲望はすべて叶えたいし、わたしも都くんに触れられたいし、めちゃくちゃにされたい、と、思うから。
……でも、終わった後の罪悪感…半端ない…
「はあ……」
洗面所で口をゆすいで、服を整えてベッドに潜り込んだらため息が出た。
「環、嫌だった?ダメって言ったのにしちゃったから…」
「ううん、違う違う!なんていうか、自分の意志の弱さがね……へへ、なんかいつも終わってからお互い不安がってるね」
「本当だ…あれかなあ、賢者」
「賢者?」
「言うじゃん、終わったら急に我に返るみたいなの」
「そっか、みんなそうなのか。なんかわたしの場合は嫌悪感とかそういう感じ…なんていうのかな、ほら…ジレンマっていうか………だけど、そういうものなんだね」
「ね。でも俺今すごい幸せ。一緒に寝る」
都くんはソファーベッドにぐいぐい入ってきた。それから腕枕をしてくれた。わたしは都くんの首筋に顔を押し付けて、お腹に腕を回した。びっくりするくらい幸せだと思った。
「環、大好き」
眠そうな、小さな声が聞こえた。
「わたしも」
ひそひそ、そう呟いた。
次の日は、車に乗って初詣に出かけた。
今年も元気に楽しくすごせますように。よろしくお願いします。そう思いながら手を合わせた。
その後は美味しいランチを食べて、帰りはがっつり渋滞に巻き込まれた。運転は桂がしてて、ソノちゃんと都くんは後ろの座席で熟睡してる。桂の運転するところを初めて見たけど、なんかすごくかっこいい。
「環も寝てていいからね」
「眠くないよ!」
「そう?」
目が合った。にこっ、て笑顔を向けられる。
これはもてるなーって改めて思う。
「あ、そのさんも都も、寝てるよね?」
「んー、寝てると思う」
シートベルトを外して、ぐいっと後部座席を覗き込んだら、ソノちゃんはシートに寄りかかってガッツリ寝てる。そしてソノちゃんの膝枕で、すんごい窮屈そうに都くんが寝てる。
「寝てるよ」
「よし…」
「よし?」
「あのさ、都が昨日、セックスってどうやんの的なことを聞いてきたんだけど」
「え」
「なんか、やりたいようにして自分だけいい感じになってんじゃないか…みたいな?環のことを満足させてあげられてないのでは、的な?」
「おお…」
「まあ…なんだろう……大丈夫じゃん?みたいなノリでしか答えてあげられなかったんだけど…都、なんか大変だったの?」
「いや…大変……?では、ないと思う…お互いにね、なんだろ…初心者同士、不安になっちゃってたんだ」
「なるほど」
「都くん、夢で女の人にどうやってするか手ほどきを受ける夢を見たんだって」
桂は目を丸くした。
「都めちゃくちゃ大人っぽく見えるけど、そういうとこ子供っぽいんだねえ…ギャップがすごいじゃん」
「うん………そういうところもかなり好き…」
「のろけたな」
「うん…」
頭をわしわし撫でられた。
「俺ものろけようと思えばいくらでもできるけど聞く?」
「きくきく」
「昨日寝る時さ、背中向けられて!えーって思ったけど、まあほら、隣で環たち寝てるわけだし、どうこうなることもないのは分かってたから」
「う」
「なに」
「…うう」
「…どうこうなったのか」
「……」
「…若干ショック」
「自分でもショックだよっ、今はだめだーって思うのにさあ、なんていうかそっちに流れてっちゃう感じ…でもちゃんとするし!!仕事始まったらもうあれだよ、それはもう真面目にやるよ!仕事一筋で」
「そんなストイックじゃなくてもいいじゃん。仕事の時は先生、プライベートでは都に完全にでれでれになってる環」
「でれでれ…」
「俺もでれでれだから!そうそう、昨日の晩ね、あー背中向けられてる悲しいって思ってたわけ。そしたらそのさん、どうしたと思う?」
「えー?ソノちゃん、またすぐ上向いたんじゃない?で、おやすみって可愛く言った」
「違うんだな〜!こうさあ、腕だけ伸ばしてきて体触ってくるわけ。だから俺もそのさんの方に寝返り打ったら、腕をこう、掴んで引っ張ってきて」
「わ、バックハグ的なこと?」
「そうそうそう!かわいい…自分からしてきて…ぎゅーって手握ってきたわけよ…」
「ソノちゃんの知らなかった一面を知った…!」
「嬉しいよねえほんと。こういうことが積み重なってさ、固く結ばれていくんだなあと思って」
桂は本当に幸せそうな顔をしてる。
「ずっとこうしてたいなあ」
なんかすごい、つられる!
こっちまで幸せな気持ちになって、最高のお正月じゃんって思った。
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