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neeedyyy;106;苑

お正月はなんだかんだで楽しく過ぎて、もう2月。かなり仲も深まったなーって思ってた。 「……きえたい…」 都はこの有様。 保健室に来るのはいい。けど、こんな落ち込みながら全体重を俺にかけるのはやめてほしい。 イスのうしろから、バックハグ状態でべったり。 「なにがあったわけ?」 「…言いたくない」 「はあ…」 「存在意義を感じられない」 「自分自身の?」 「そう」 「俺はお前がいないとさみしいよ」 「ソノ、俺と付き合う?」 「桂いるけど」 はああああ…って深いため息を耳元で感じて体が震えた。 「なにがあったんだよ」 「環が冷たい」 「はあ…なにそれ」 都は仕切りカーテンを開けて、ベッドの縁に座った。 「何日か前からうっすら冷たくなってきてたんだよね」 「どういう感じなの?」 「俺からしか連絡してないし、返信の文面があからさまに冷たくなった」 正月に環と都は連絡先を交換した。 環はめちゃくちゃ葛藤してたけど、あと3ヶ月だし!って桂がハッパかけて交換に至った。 「なんで?」 「全然なんでか分かんない」 「えー…」 「だし、さっき論表だったんだけど、目が合ってもすぐ逸らされて」 「なんかあれじゃない?改めてかっこいいとか好きとか思って、照れてんじゃないの?」 「違う違う!表情も怖いの」 「えー」 「で、これはもうちゃんと聞かなきゃだと思って、授業終わりに環に話しかけようとしたら、たまたま竹井先生が通りがかって「夏目お疲れー」って話しかけて、ふたりが並んだわけ」 「はあ」 「そしたら女子がさ、竹井と夏目ちゃんはありだよね、とか言い出して」 「あり?」 「竹井先生と環をBL的観点で見てるってこと」 「うわ…」 「そしたら竹井も乗っちゃって、肩ぐいーって抱き寄せて、かわいいかわいい!って言って頭撫でたりほっぺすりすりしたりして…それだけでも相当見てるのキツいのに、環もにこにこしてて、竹井の腰に腕回しててさ…肩にもたれかかってるし……冗談っぽくはあったよ?だけど冗談でも笑えないじゃんこっちは!」 都は「ああ!!」って叫んで、ベッドに横になった。 「…ちょっと寝ていい?」 「いいよ」 「ソノ、一緒に帰ろ」 「そんながっつり寝んの?」 「ソノ、今日泊めて」 「だめ」 こっちに背中を向けて、丸くなった。 なんで環がそんなことしてるのか、いまいちよく分からない。 環とは週末一緒に過ごしたけど、特に変わった様子はなかった。今日は木曜。4日会ってないけど、その間に何かあったってことなんだろうか? ベッドに目をやると、都の背中が小さく見えて、なんかちょっと切ない。

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