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neeedyyy;114;環
なにか夢を見てた気がする。
頭を撫でられて気持ちいい。
目が覚めたけど、まだ目は開けない。ふとんを抱きしめ直して頬擦りした。
ソノちゃんか桂、どっちだろう?
桂は遅くまで起きてたし、ソノちゃんかも。
「ソノちゃん?」
目は閉じたまま腕を伸ばして、頭を撫でてる手を握った。
……ソノちゃんじゃない気がする。でも確実に桂でもない。
目を開けた。
「…おはよう」
渡辺君だった。
頭が疑問符だらけになって、動けない。
「話したくて来ちゃった」
全然話したくなかった。
自分から早めに教えてって言ったくせに、全然聞きたくない。返信してくれたらよかったのに
ふとんを引っ張り上げた。
「環!」
「見たくない、から」
「なんで…」
「声だけ聞くから、言って」
「環、」
小さなため息が聞こえた。
「ごめんなさい」
…これをわざわざ言いに来たんだ……
でも、たしかにそれって正しいかもしれない。ちゃんと面と向かって終わらせないと、変な感じになっちゃうかもしれないし。
体を起こした。
「分かった」
渡辺君は驚いた顔のまま固まってる。
よく分からない気分だった。
すっきりした気もするし、一言で終わっちゃうんだなって気もした。
「お腹空いたから、ごはん食べよう」
「え、」
「食べるよね、ここまで来たし」
「いや、い、いいの?」
「うん、食べていきなよ」
寝室を出た。
ソファーで桂が完全に横になって寝てる。
ソノちゃんはキッチンでごはん作ってる。
「お、出てきた」
「おはようソノちゃん」
「おはよう。都、すごい顔してるけど大丈夫?」
「わかんない…」
「はあ?」
「なんも言ってないよ俺、ねえ、環」
「もうこれ以上聞くことないよ。大丈夫大丈夫。十分伝わったよ!」
「なんで?謝っただけだよ、まだ」
「顔洗ってくるね」
鏡に映る顔はぼろぼろだった。
水でばしゃばしゃ洗って、気持ちを切り替えた。切り替えられてるかは怪しい。でも、そうしなきゃって思った。
こんなことになるなら、はじめから何もなければよかったのに。でも、いい経験にはなった、と、思いたい。
「環」
「うわっ!…びっくりした…」
鏡に渡辺君が映っていた。
「話聞いて?」
「なに?」
「吉崎さんは、」
「よかったね!今から楽しみじゃん、新しい生活、新しい恋人!楽しいことたくさんだね」
「なんでそうなるの?」
「竹井がしみじみ言ってたよー、成就してよかったーって」
「竹井って……なに、あれは本気だったの?竹井先生とくっついて、すりすりしてさあ。夏目先生と竹井ありだよね〜とか言われて、満更でもなさそうににこにこして!もしかして返信しないでこのままなかったことにすればいいやとか思ってた?そしたら普通に俺は卒業していなくなるし、竹井先生と付き合えるもんね」
…初めてこんなに怒る姿を見た。
なにも言えない。変な間が空いてしまう
「…ふーん、なんも言わないじゃん。冬休みなんてあんなに仲良かったのにね。っていうかどうして竹井先生なの?なんで?俺、ちゃんと好きだよって伝えてたと思ってたのに、なにがだめだった?俺どうしたらよかったの?どうしたらずっと環といられた?ねえ、なんで竹井先生に取られなきゃだめなの?竹井先生のどこが好きなの?俺じゃだめ?なにが足りないの?教えてよ、努力するから!竹井先生みたいになれるように頑張るから!!んんんっ」
渡辺君の口が塞がれた。
「うるさい。お前はなにをそんなパニックになってんだ」
「っはあ!やめてよソノ!!」
「あのねえ、声でかいから丸聞こえだったけど、お前たちはいい加減学習しなさい!何回同じようなことで拗らせてんの!環、都の言い分全部聞いた?」
ソノちゃんは怪訝そうな顔で見てくる。
「都は「ごめんって言っただけ」って言ってたけど?」
「…そんなの、分かるじゃん……ごめんなさいって、別れようってことでしょ」
渡辺君はものすごい目を見開いた。
「いやいやいやいやいやいや」
「ほらな?環は聞かないのよ人の話を。思い込み激しいから。含みを持たせたらだめなの。直球でいかないと」
ソノちゃんはわたしの両肩を掴んだ。
「クラスの子とは何もない。環が好き。別れない。環は竹井のことが好きなの?」
肩から手が離れた。
「これくらい簡潔にしないと。環は答えた?竹井のことが好きかどうか」
「勘弁してよ、付き合うとかないし!」
「でもいちゃいちゃしてたんでしょ?」
「してない!」
「してた!」
いちゃいちゃとか、
「……してないよ、してないけど、でも、」
あの時のことを思い出した。
結構もう、あの時には気持ちはガタガタで
だからってそんなことしていいわけじゃない、だけど、
「ちょっとくらいいいじゃん、なんてことないし、って、思ったよ…だって、渡辺君は腕組まれて、手だって繋いでるんだから。好きとかそんなんじゃない。なんとなくノリでそうしただけ。だって男と男で肩組んだりとかするじゃん。やだ!とか言えないじゃん、わたし女だからーとか言えない、だって男なんだもん」
ソノちゃんに抱きしめられた。涙が出てた。
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