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neeedyyy;122;都
保健室のベッドに寝転びながら、指輪をふたつ、摘んで眺めた。
夏目先生のことを意識したときのことを思い出した。それから、偶然会って初めてキスした日。メイドさんの格好させられてた学祭の日。映画館で会った時は、めちゃくちゃ美人なお姉さんがいる!って思った。お正月、ソノの家でのことも鮮烈。
どうしてこうなったんだろう。
何回考えても同じ。
過ぎたことを悔やんで、それしかできない。
夏目先生に、新しい恋人ができたら
そんなのそうだとしても見かけることなんでほぼないけど、でも
知らない人に向かって、あの笑顔を向けて
細くて小さな手で、その人の腕に触って
いいムードになったら、あの甘ったるい表情を見せて
『都くん』
笑いかけてくれる顔がうかんだ。
もう、そうは呼んでもらえないんだ
うわ、なんかめちゃくちゃ泣けてきた。っていうか普通に泣いてる。真っ白いシーツ濡れちゃってる。はずい。よし、切り替えた!って思ってたのもはずい。
かたかたかた、ってパソコンのキーを打つ音がする。聴き心地いい。
ちょっと気が紛れてきた。
窓の外は真っ暗。だめ、全然紛れてない。
何時なんだ今?
家帰りたくない。父さん母さん見たって別に気が紛れるわけじゃないし。っていうか仲良し夫婦だから見たら逆にって感じだし!羨ましい…くそ…親にまでこんな気持ちを抱いてしまうとは…もういっそ保健室に泊まるか…ソノに頼み込んだら特例でオッケーって言ってくれそう。
「ソノー」
「んー?」
「今日このまま保健室泊まっていい?」
「だめ」
……冷たい。
ソノが冷たすぎる。
「俺は今夜どうしたらいいの」
「寝るまで電話してあげよっか」
「うわ、なんかそれめちゃくちゃ付き合いたての恋人じゃん」
「そう?環としてたの?」
「……してないよだって連絡先最近まで知らなかったし普通にイメージで言っただけだけど」
「おーおー」
優しいのか雑なのか分かんない、なんなのまじで!
真っ白くてたいして気持ちよくないうっすい布団に頭まで潜り込んだ。
こんこん、がちゃ
「ソノちゃん」
「あ、環」
さーーーーって血の気が引いた。
ベッドの仕切りカーテン開いてる。入り口からベッドはすぐに見えない。ソノのデスクから振り返るような感じにならなきゃ見えない。
…このままペタッと潜り込んでたらやり過ごせるかもしれない。
「まだ帰らないの?」
「あー、もうちょっとだけ」
「じゃあ待ってていい?」
「いいよ」
よくないだろ!!
「ソノちゃん」
「んー?」
「…渡辺君に、渡してくれた?」
「渡したよ」
「……そっか、ありがとう」
「うん。泣いてたよ」
「え…」
「都、泣いてた」
「なんでだろう、」
「未練がすごいからじゃない?」
「…きっと、でもさ、すぐに誰かと付き合うじゃん、だから、大丈夫だよね」
「なにが?」
「みや…わ、渡辺君」
「まあ、もてるもんねー」
「…だよね……やっぱり、そうしなきゃだよね」
「そうする?」
「うん、わたしも前向きに……あのね、やっぱり探してみようかなって、思って」
「セフレ?」
えっ
「うん…なんか…なんかこのままじゃだめだーって思ったんだ。……そうだね、やっぱりだめだよ、いつまでもうじうじして、未練がましい…」
「なんで別れるとか言ったかねえ?なんでだっけ?」
「…それはだから、女の子がいいに決まってるじゃん、って、きっとこれからも思っちゃうから、」
「じゃあ、セフレ作るメリットはなんだっけ?」
「色々忘れられそう…だし、初めから体だけだって割り切ると、考えなくていい、から」
……勘弁してよ、
「今やっちゃえば?もう退勤してるんだよね?」
「うん」
「じゃあいいじゃん。ここで相手探しながら待ってていいよ」
「ん、んん…ソノちゃんはどうやって探してたの?」
「同じサイト使ってみる?言っとくけど、ゲイ向けだからね。それでいいかどうか、冷静に考えなね」
「…うん」
静かになった。
なんだよソノ、一緒に悪あがきしようとか言ってたのに!それがこれ?環のセフレ探す手伝い?いやいや、なんの悪あがきよ…
……静かなまま、割とがっつり時間が過ぎていく。どうすんのこれ、俺まじでここに泊まる流れじゃん。
「よし!終わろう。お待たせ。相手見つかった?」
「分かんない…」
「ふーん、…探すのは至難の業だろうね。見た目も中身も良い都と同等の男なんて、そうそう見つからないって」
「で、でも、見た目がすべてじゃなくない?」
「セフレでしょ?見た目がすべてじゃん。内面がいいに越した事はないけど、結局やるだけだし。見た目重視でしょ。体の相性は試さなきゃ分かんないし。この今見てる人なんとなく良さそう。都と比べてどう?」
「わ、分かんないけど……でも…」
「でも?」
「都くんの方がかっこいいに決まってるよね…」
「まあ、そうなるよね」
「こっちの人も、結構かっこよさそうに見えるけど…」
「どれ?……あーー、んー」
「この人とコンタクト取ってみよっかな、」
「ちゃんと比べとかなくていい?」
バサ!って、ふとんが捲られた。
半うつ伏せの姿勢で、枕元と目元びしょびしょのキモすぎる俺が全開。
「んー、やっぱり都見たら、どれもこれもなーって感じだけどね」
ソノが腕組みして見下ろしている…
いやいや、ちょっともう足掻いたって無理な域じゃんこんなの。こんなきっしょい俺見せちゃったらさ。
「え……い、いる…」
「どっちも都になんか全然及ばないじゃん。それに文面も見てみ?チャラいなーこれ…大丈夫?こういうタイプ、環はいけるクチなの?都って全然チャラくないし、びっくりするくらい真面目じゃん。なあ?」
いや、なあって言われても
「どうする?連絡してみるか、チャラそうだけど!可愛い系が好みって書いてるから、この人的にはかなりラッキーだよね、環が相手してくれたら」
ゆっくり体を起こした。
頭がちゃんと回らない。
夏目先生のことを見た。
なんの言葉も出なかった。
夏目先生の顔はずっと強張ったまま。
「環、意地悪した。ごめん」
「なんで…」
「都、こんなぐっだぐだでごめんな。…目ぇぱんぱんじゃん」
「泣くに決まってんじゃん!セフレって…だってもし夏目先生がパパッとコンタクト取っちゃったらどうするつもりだったんだよ!」
「その時は一回やってきてもらってからだなって」
「やだよっ」
「いやいや、都、まだ決まってないから。今から環が決めるって。ごめん、意地悪続行。どうする?あれか、今ちょっと都の王子様度が低下してるから、やっぱこの人の方がいいか」
ソノって、いつもは夏目先生に対して包み込むみたいに優しい感じだけど、今はかなりなんか…圧がすごい。
「……渡辺君と、ふたりで話したい」
「うん、分かった」
先生とは視線が合わない。
学校を出て、駅まで3人で歩いた。
ごちゃごちゃいろんな考えが湧いてくる。
ソノはさっさと改札を通って、お疲れ様ーって帰って行った。
「……ソノちゃん、やり口が豪快すぎる」
「たしかにめちゃくちゃだ…」
目が合った。
「み、」
唇を噛んで目が泳ぐ。
「わ」
「都って呼んでもらって、大丈夫…です、」
苦しい、
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