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superVALENTINE;124;桂

今日はバレンタインということで、仕事帰りにバラの花束を買い、明日が日曜なのをいいことに意気揚々とそのさん宅に向かった。 花束なんて!って鬱陶しがられるかな。 でもいい。お願いして抱えてもらって、その姿を目に焼き付けてキスひとつできれば、それだけで充分幸せ。 「おかえり。鍵開いてるよ」 インターフォン越しの声を聞いて玄関を上がって、手を洗って少し髪を整えて、それから花束を抱え直した。リビングのドアを開ける。 「そ………」 なんか、部屋がすごい飾られてる。 happy Valentinesdayって書かれたガーランド、ピンクや白のハートの風船、その他装飾多数…それに、そのさん…胸元がハートみたいになってるふりふりしたエプロンを着けてる。それとなんか既視感のあるヘッドドレス…そしてよく見るぶすーっとした表情… 「どうしたのこれ」 「ハッピーバレンタイン」 めちゃくちゃ低い声で全然感情こもってない。 「かつらー、あいしてるよー」 「なに、どうしたのそのさん!」 花束をその辺に置いて、両肩に手を掛けた。 「ふふ、かわいいな」 思わず口から出てしまった。 だって、なにこのふりふり。案外似合うんだこういうのも!ほっぺも赤くなっちゃってるし! 「ん」 そのさんは目を閉じて、少し顎を上げた。 それから唇をほんの少し突き出す。 「ん?」 「ん!」 ……え、なにこれほんとかわいいんですけど! 右手で頬を包んだ。親指で瞼をなぞる。 左手で腰を引き寄せた。 それから、ゆっくりとキスをした。 改めて唇の温度とか柔らかさに気がつく。 「もう一回していい?」 伏せた長い睫毛を見てから、もう一度唇を重ねた。 左手は柔らかい髪に、 右手は腰を強く引き寄せて、 「苑、愛してるよ」 「うおおおおおーーーー!!!」 「やばーーーー!!!」 叫び声が後ろから聞こえた。 「やばすぎるんだけどっ」 「か、桂先生すごいねっ」 ゆっくり振り返ったら、環と都が目をらんらんとさせて寄り添いながらこっちを見ている。 …ソファーの陰に隠れてたのかな?…… 「…なにしてるのふたりは」 「勉強」 「桂がソノちゃんからの愛をどうやって受け止めて、どうやって応えていくのかの勉強」 深いため息が出てしまった… 「いいなあソノちゃん、すーーーごい愛されてる」 「これで満足した?」 「うん!」 環は満面の笑みで……こんな可愛い笑顔が見られてパパは嬉しいよの気持ちもあるんだけど、それにしても…! 「このハートのエプロンとヘッドドレスはソノちゃんにあげるね!」 「使わない。お返しするから」 「エプロンとこれは環の私物なの?」 「この日のためにネットで買ったんだー」 「まじでバカじゃないの…」 「ヘッドドレスは、都くんがテニス部の前部長にどこで買ったか聞いてくれたんだよね?」 「えー!」 都はドヤ顔で手を腰に当てた。 「そうそう。文化祭の時に夏目先生がつけてたメイドの頭のやつってどこで買ったのー?って聞いたら、都は夏目ちゃんのキモオタだって言われた」 「なんで!?」 「メイドしてるときに攫っていくし、しょっちゅう見つめてるじゃんとか言われて。で、いよいよ夏目ちゃん着用のヘッドドレスまで買おうとしてる!こいつはやべえ、どんだけなんだ!!ってね」 都、すごい誇らしげなのはなんでなんだろう… 「まあ、自他共に認める夏目環オタクってことになったよね。ようやく時代が俺に追いついたわ」 「何言ってんのかよく分かんない」 そのさんはそんな誇らしげな都をぶった斬る… 「あ、でも、わたし聞いちゃったんだよね」 「なにを?」 「女の子たちがね、都くんがヘッドドレス買おうとしてるらしいって話してるの。彼女に着けるんじゃないかって。最近毎日指輪着けてるし、やっぱり彼女がいるのはほんとだったんだねって」 「よし!!もうみなさんの推測通りですよねー。夏目環オタク兼彼氏」 「いやいや、誰1人そこ結びつけて考えてないじゃん」 「もうこっちのもんだよ!!環、もうこれで心配いらないねっ」 なんか面白くて笑ってしまった。 当たり前だけど都はまだ子供なんだなーって思って、そのギャップがかわいく思える。 環も満更でもないみたいでふにゃふにゃ笑ってるし! 笑えないんですけど、とか言いながら、そのさんも笑ってて、うわー、なんか今すごい幸せかも…って強く思ったその時、渡してなかったバラの花束に目がいった。 危ない、ちゃんと渡さなきゃ…幸せな気持ちに浸っちゃって、忘れてしまいそうだった! 「そのさん」 「ん?」 花束を抱えて、そのさんの前に行った。 「これ受け取ってくれる?」 小さな声で、んー、って少し唸って、それからみるみるうちに赤くなった。かわいすぎる。 「ありがとう、」 ヘッドドレスもふりふりのエプロンも着けたままで、そのさんはバラの花束を抱えた。 写真を撮りたいくらいなんだけど、今はスマホを手に取るより、そのさんを抱きしめたい。 「写真撮っとこ」 カシャカシャ音がした。 「撮るなっ」 「ごめんって!でも最高なんだもん。バレンタインに花束、桂先生かっこよすぎる」 「ありがとう」 そのさんをハグする手を緩めて、都の方を向いた。 「バレンタインだから、花束?」 「やってみたくて…そのさんこういうの嫌かなって気もしたんだけど、自分の欲に負けた」 「結構嬉しい、かも」 「ソノちゃん真っ赤じゃん!」 環はけらけら笑いながら、そのさんに抱きついた。それをまた都が撮る! 「あとでその写真ちょうだい」 都は黙ってサムズアップした。

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