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superVALENTINE;126;都
ソノの家を出る時、環はメイクを落とした。
胸のパットも外して、ゆったりしたデニムに暖かそうなもこもこのセーターに着替えた。どっちもメンズなんだー、って少し笑って、ほんともうメンズだろうがレディースだろうかなんでもかわいいよーーーって、心臓爆発しそうだった。大きめの黒いダウンにふわふわの黒いバゲットハット。あ、やばいかっこいい、こんなスタイルもあるんだ最高じゃん、
「よし!行こっか」
環はメッセンジャーバッグを引っ掛けた。
桂先生とソノに挨拶して家を出た。
駅までの道は手を繋ぎたかったけど我慢した。でもたまに指先が触れ合って、目が合って、泣きそうになった。なにこの感情?
「あー!」
声の方を見た。
「みやこじゃん!」
前に遊びに行ったのとほぼ同じメンバーだ。
……やばい、やばい?
「偶然会うとかすごいねー!」
「だねー。遊んでたの?」
「ボーリング行ってきたとこ。あ、こんばんは〜」
友達はぺこっと頭を下げた。環も同じようにした。環を見ても誰だか分かってないみたい。そりゃそうだよ、先生の時のスタイルと全然違うし、ダウンの襟とハットで結構顔も隠れてる。
でも明らかに動揺してる…
「今日バレンタインなのに彼女とデートしてないじゃん。別れた?」
「別れてない」
「ほんとか〜?」
「ほんと。もう行きまーす」
環の手を繋いだ。
「じゃあねー!また月曜日〜」
引っ張って歩き出した。
ぎゅって手を繋いで、少し早足で駅に向かった。
「はー、着いた…」
「び、びっくりしたね…危なかった…気づいてなかったよね…」
「大丈夫だと思う!手、繋いじゃった」
環は笑いながら繋いだ手をにぎにぎしてくれた。
「あ、もうチョコはいっぱい食べてきたけど、これ貰ってくれる?」
バッグをごそごそして、紙袋を手渡してくれた。
「え!なんだろう」
「クッキー、昨日作ったんだ。作ったの嫌じゃなければいいんだけど」
「全然やじゃない!嬉しい!!」
「あはは、ありがとう。そう言って貰えたら嬉しい。お口に合えばいいなー」
「食べたらなくなるのがつらい…」
「えー?」
環はくすくす笑った。
「ほんとはこの後も都くんと過ごしたいなって思うけど、でもあと1ヶ月だし!それまではちゃんと健全なお付き合い、ってことに、する」
俺の自意識過剰かもしれないけど、名残惜しそうに見える…かなり…!
でも確かにあと1ヶ月。今ぐずぐずなっちゃうのは良くない。
「健全なお付き合い、分かった」
「うん」
「卒業式の後は、いい?」
「……部屋片付けとく」
「!!!」
「あ、でも友達と遊んでくるとかでも全然いいからね!卒業したらなかなかみんな揃って遊ぶとかできなくなるんだから!…でも、制服の都くんと写真は撮りたい」
へへ、って環は笑った。
「当たり前じゃん!絶対撮る」
卒業は寂しいはずなのに、すごく楽しみに思えてきた!
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