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柊side4
✩.*˚
寛太さんを見てるだけでいいと思っていた僕には欲が出ていた。
地元に帰る前に、好きな人に・・・寛太さんに1度でいいから抱かれたい。
そして僕は初めてドリンクの注文以外で寛太さんに声をかけた。
「あの・・・・・僕としてもらえませんか?セックス」
『なに?俺の事狙ってたんだ?最近よく来て、1人でカウンターでやけに俺ばかり見てると思ったら。』
寛太さんがカウンターから身を乗り出し僕に顔を近づけニヤッとしながら言った。
こんな至近距離で寛太さんが僕を見てくれている。
目と目が合った瞬間、僕は金縛りにあったかのように動けなくなってしまった。
そんな僕を見て、顔真っ赤!と笑いながら大きな手で僕の頭を優しく撫でた。
その日はそのままはぐらかされてしまったけれど、
その日から寛太さんに会いにいく度、寛太さんは僕の話を聞いてくれるようになった。
「初めて男の人に抱かれるなら、好きな人がいいんです・・・」
どうして俺に抱かれたいのかと寛太さんに聞かれて、恥ずかしかったけど素直に気持ちを伝えた。
『俺は恋人は欲しくないし人を好きになったことがないんだ。だから君の気持ちには応えられないよ?そもそも俺は色んな男と快楽を楽しめればそれでいいの。それに1度抱いた相手は抱かないよ?』
「周りの方に伺いました。寛太さんはそんな人なんだって。それでも抱いて欲しいんです・・・・」
そう言うと寛太さんは変わったヤツだなと笑って、その日もはぐらかされてしまった。
✩.*˚
そんなことが数回続いたある日、
僕がいつものようにカウンターで1人で飲んでいたら、背の高い男の人が僕に近づき腰に手を回した
『君、最近よく1人でいるよね?相手探してるの?』
「いえ、違います。」
『それは残念だなー。君、凄く可愛いからずっと気になってたんだ。俺と気持ちいい事しようよー、ね?』
「いえ、、、大丈夫なんで・・・あの、手、離して下さい・・・」
『とりあえずホテル行こうよ。ね?』
今までにも1人でいると何度か誘われたことはある。でもここまでしつこいのは初めてで、腰に回された手が少し上下に動いて気持ち悪い。
(寛太さん、助けて・・)
目を瞑って心の中で寛太さんを呼んだ
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