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柊side11

「寛太さん、元気かな・・・・」 タクシーの窓からキラキラした街並みを眺めながら 胸ポケットに仕舞っていたジッポを取り出し両手で優しく包み込んだ あれから色々経験して、5年経っても寛太さんを忘れられないでいる。 明日になればまた地元に戻り、この街にはしばらく来ることはないかもしれない。 タクシーから歩いている中に寛太さんがいないかなんて目で探している自分がいた。 ラジオから誰かの声が聞こえてきた ────みなさんこんばんは。時計の針は0時をまわり、 始まりました、kantaのMidnight Radio。 日付も変わって今日は12月24日。 Merry Christmas。 クリスマス・イブですね。 皆さんはクリスマス・イブの思い出はありますか? 僕のクリスマス・イブの思い出は・・・・いつもクリスマス・イブが来ると思い出す人がいます。5年前に出会ったその子との思い出かな・・・ では、まずはクリスマスソングを一曲お送りいたします 「運転手さん!ラジオのボリューム上げてもらえますか?!」 僕のずっと大好きな人の声 間違えるはずがない ・・・寛太さんだ ─────僕は初めて後悔をしました。初めて人を好きになって、初めての事に戸惑って、そんな弱い自分のせいで失ってしまってから気づいたんです。 その子が好きなんだって24日になったばかりの今頃はいつもその子の事を思い出します。もし皆さんの中で素直になれない人がいたら、聖なる夜だけは素直になって、好きな人に好きと伝えられますように。素敵なクリスマスを 僕は慌てて運転手さんに声をかけた 「運転手さん!行先変えてもらえますか?!」 ✩.*˚ 人が歩いてくる音がする 寛太さんだろうか。違う人かも・・・・ 僕は冷たくなった手を擦りながら下を向いていた 「・・・・・・・柊」 顔を上げると僕の好きな人が目の前に立っていた。 好きな人が僕の名前を呼んで、愛しそうな瞳で僕を見つめている 『ラジオで言うなんてずるいです・・・』 「だってお前いなくなっちゃうんだもん。柊さ、ブレスレットをプレゼントする意味知ってんのか?相手を【束縛】するって意味あるんだぞ。勝手に居なくなられても、俺の気持ちはずっと柊につなぎ止められたままだったんだぞ?」 『寛太さん・・・・・・僕、寛太さんにあの日その気持ちは勘違いだって言われてあれから何人かと関係もったけど、やっぱり寛太さんが好きな気持ちは変わらなかったから勘違いじゃなかったです。』 「そっか」 『寛太さん・・・今夜のクリスマスイブと僕の誕生日、一緒に過ごしてくれませんか?』 「・・・・もちろん。でもその前にちゃんと言わせて?・・・俺、お前のことが──────」 寛太さんが僕の耳元で囁いた 『大好きだ』 「寛太さん・・・メリークリスマス」 『柊・・・・誕生日おめでとう』 僕達は笑い合いながらキスをした おわり

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