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第7話 出会い②
智流はバンビのような大きな瞳で、志水のほうを見ていた。
吸い込まれてしまいそうな瞳ってやつだな……。
胸の鼓動が速くなるのを感じながら、志水はそんなことを思っていた。
目の前の少年は繊細な硝子細工のようで、庇護欲をそそられて止まない。
それは、彼が今、心に悩みを抱えているからというだけでなく、おそらくもともとの性格が内向的で傷つきやすいのだと思う。
「……網埼智流です……よろしくお願いします」
智流はさっきよりは若干大きめの声で自己紹介をすると、ペコリと深く頭を下げる。
彼の動きに合わせて真っ直ぐで綺麗な髪がサラサラと流れる。
セーラー服を着せたくなるほど、可憐で清楚だな……。
志水はちょっぴり変態っぽい想像をしてしまったが、そんな妄想をしたことなどおくびにも出さずに智流に笑いかけた。
「今日は初日だから、いきなり勉強に入るのもなんだし、智流くんのことを話してくれる? 趣味とか好きなテレビとか……」
智流にそう言ったとき、志水の視線が壁際に置かれた本棚をとらえた。
本棚にぎっしりと並んでいるのは、ほとんどが小説の文庫本で、見事にジャンルが偏っている。
「智流くん、ミステリーとホラーが好きなんだね。オレと同じだ」
志水がそう話した途端、智流の顔がパッと明るくなった。
「志水さんもミステリーとかホラー好きなんですか?」
「うん。すごく。君の本棚にある本はオレもほとんど持ってるし。でもうれしいな。オレの周りにはあんまりミステリーとかホラー読むやついなくてさ。色々話ができる相手が欲しかったんだ。これからは智流くんと話ができそうで楽しみだよ」
「……僕もうれしくて、楽しみです」
少し口元をほころばせ、頬をピンクに染める様子がなんとも愛らしい。
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