14 / 72
第14話 真相を知るとき
その日のスケジュールを終え、網埼家をあとにして、最寄駅へ向かう途中で志水は呼び止められた。
「あのー、志水さん、でしたよね? 智流の家庭教師をしている……」
おずおずと言った感じで声をかけてきたのは、さっき智流を訊ねてきていた友人の一人だった。
「ああ。……君は確か……」
「高安です。智流とは親友で……」
「高安くん、帰ったんじゃなかったのか?」
「駅までみんなと一緒に行って、ちょっと用事があるからって引き返してきたんです。智流のことで、その、ちょっと話したいことがあって……。あいつ、志水さんにすごく懐いているみたいだから……」
「え?」
「智流、時々オレにメールをくれるんです。で、この頃あいつのメールは志水さんのことばかりだから」
高安の言葉に志水は少なからず驚いた。今日の智流の様子を見て、友人たちとは完全に没交渉になっていると思っていたからだ。
「だから、オレの話を聞いてもらうなら、志水さんしかいないかなって思って。いいですか?」
「勿論」
――そして、志水は智流の不登校の理由の真相を知ることになるのだが、それはなんとも厭な……吐き気がするくらいに、おぞましいものだった。
ともだちにシェアしよう!