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第16話 真相を知るとき③

 「智流くんを嫌いになるわけないだろ?」  志水が智流の頭をそっと撫でると、彼の瞳から涙がパタパタと落ちた。  泣きじゃくりながら、智流は胸の中にずっと独りで抱えていた苦しみを吐き出した。 「志水先生……、なぜか、どうしてか分からないけど……僕、罪悪感を感じてしまって……。悔しくてたまらないのにっ……なのに……」  志水には智流の気持ちが分かるような気がした。……はっきりと言葉にしては言えないけれども。  繊細で潔癖ゆえ、相手を憎むことと同時に、自分をも責めてしまうのかもしれない。  そんな彼にオレはいったいどういう言葉をかければいい? 「君は悪くない。なにも悪くない……」  呪文のように同じ言葉を耳元で囁くしかできない。  ごめんな……、無力で……。  智流は志水のシャツを握りしめ、子供のように泣きじゃくった。  彼が泣いているあいだ、志水はずっと彼の頭を撫で続けた。そんなことしかできない自分を情けなく思いながらも。  涙には苦しみを浄化する作用があるのだろうか。泣いて泣いて、涙を出しつくした智流はなにかが吹っ切れたような顔をしていた。  そして、智流は訥々と話を始めた。  不登校になる前日の放課後、智流は成績のことで話があると、マスダから呼び出されていた。嫌な感じはしたと言う。なぜならマスダが来るように言ったのは、使われていない古い音楽室だったから。 「でも、うちのクラスは担任の先生が大学出たばかりの女の先生で、ベテランのマスダのほうが色々な指導を仕切っていたから……」  智流は古い音楽室へ行った。

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