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第25話 それぞれの気持ち

 家族や志水と話し合った結果、智流は今の高校を続けることにした。  ちょうどあと少しで夏休みに入るため、二学期から登校することに決めたのだ。  警察沙汰になったマスダは学校をクビになるだろうから、もう心配はいらない。  智流が一番気になっていたことは、志水がこれからも家庭教師を続けてくれるかどうかだった。  志水は、「智流くんが望んでくれるのなら続けたい」と言ってくれ、両親も二つ返事で賛成してくれた。  ただ、どういうわけか志水を連れてきた張本人の姉だけが、なんとなく不満そうだった。  ――ともあれ、これからも志水が来てくれ、一緒にいられると決まり、智流の胸はときめき、心は幸せで満たされたのたのだった。  不登校の理由を聞きだし、解決するという本来の役目を終えても、志水は智流の家庭教師を続けることが決まり、うれしかった。  副担任がストーカーとかし、襲われかかったショックも少しずつ和らいでいっているようで、智流は会う度に、彼本来の明るさを取り戻していっている。  夏休みに突入する頃には、高安をはじめとするクラスメートたちとも会うようになり、楽しそうに話をするようになった。  そんな智流を見て、志水は安堵すると同時に、少し複雑な気持ちにもなった。  もうすぐオレはお役御免になっちゃいそうだな……。  そんな寂しさが胸の中を駆け抜けるのだ。  智流は志水に懐いてくれていて、これからもずっと家庭教師を続けて欲しいと言ってくれている。  志水も近くで、彼を見ていたい。  智流が、『お兄ちゃん』みたいな存在として、志水を慕ってくれているのなら、それでもいい。傍にいたい。  ……だが愛香に相談された問題は解決した。  智流はもともと成績は良く、どうしても家庭教師が必要というわけでもない。  本来ならもう志水は必要ないのだが……。

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