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第46話 告白

「志水先生?」  智流が顔を上げ、志水のことを大きな瞳で見つめてくる。  黒目がちの瞳がとても頼りなげで、守ってあげたい。  智流のなにもかもが愛おしくて、志水から理性を奪っていく。  志水はもう一度、智流を強く抱きしめると、彼の耳元で囁いた。 「本当にそれは誤解なんだよ。オレが好きなのは、智流、君なんだ」 「えっ……?」  志水の腕の中で、智流の体がピクンと震えた。  志水は智流を抱きしめている腕を緩めると、彼の瞳を真っ直ぐに見つめた。 「初めて会ったときから、オレは君に惹かれてた。その気持ちはどんどん大きくなっていって、智流のことが好きなんだって気づいた……恋してるって」 「――――」  智流は零れそうなほど大きく目を見開いている。 「ずっとオレの気持ちを智流に伝えたかった……好きだって、言いたかった。でも言えなかったんだ」 「……なぜ?」 「だって君は副担任の男にストーカー行為をされ、心に深い傷を負ってる。そんな君に、同じ男であるオレが思いを伝えるなんてことは、できなかった。智流のお姉さんと付き合えば、少なくとも君の傍にいることができる……そんな卑怯なことを考えたんだよ、オレは。勿論、お姉さんには断られたけどね。本当、最低だよな、オレ」 「志水先生……」 「ごめんな。でも、誰よりも好きだよ……智流……愛してる」  拒絶され、突き放されることを覚悟して、志水は告白した。  でも智流は志水のことを拒絶しなかった。 「志水さん……」  涙声で志水の名前を呼ぶ。  そして智流の両手がおずおずといった感じで、背中に回されてきた。  

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