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第51話 約束

「遊園地か、楽しそうだね。智流はジェットコースターとかは大丈夫なのか?」 「大好きです! ジェットコースターなら何回でも乗りたいくらい。メリーゴーランドとかコーヒーカップとか、くるくる回る奴は酔ってしまうから苦手なんですけど。志水さんは?」 「オレもおんなじ。ジェットコースターはすごい好き。くるくる回るのはオレも酔うし」  志水はそう言ってから、小さく笑った。 「志水さん?」 「いや。オレたちって結構好きなもの似てるよなって思って。ほら、二人ともミステリーとかホラー小説好きだし、ジェットコースターが好きなところも一緒だって分かったし」 「ほんとだ。なんだかうれしいな……」  智流も微笑んだ。心がウキウキする。 「今度の休み、天気が良かったら行こうか?」 「うんっ」 「じゃ約束、な」  志水が小指を立てて智流の目の前に差しだし、智流は彼の小指に自分の小指を絡ませる。  絡ませた智流の小指に志水はそっとキスをしてくれた。  二人きりのリビングにかすかに雨の音がしている。  志水と智流はもう一度、ふわりと唇を触れ合わせた……。  映画のチケットを買うために並んでいるだけで、あんなに気分が悪くなり、その上、調子が悪いままずいぶん長いあいだ冷たい雨に打たれていたというのに、智流は風邪を引くこともなかった。  現金なもので、志水と恋人同士になれたうれしさは、風邪も朝からの不調も吹き飛ばしてしまったようだ。  心配をかけてしまった高安には電話で謝った。  「すごい具合悪そうだったから、倒れてるんじゃないかと心配したけど、元気になったみたいだな」  高安は安心したように笑ったあと、なんだか意味ありげな口調で言ってきた。 「けろりと元気になったのは、なにかいいことがあったからかなー? 志水さん関係で」  完全に図星を突かれて、智流は焦りまくった。

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