「そんな……、そんなはずないだろ。……オレは智流を傷つけたくないんだよ」 「どうして僕が傷つくの？　こんなに志水さんのことが好きなのに……。志水さん、僕だって男だよ？　志水さんをもっと近くに感じたい……志水さんが欲しいよ……」 　智流の瞳が真っ直ぐに志水を見つめる。 　出会ったころ、その瞳には臆病さしかなかったのに、今は強さを増し、艶めかしい色さえ浮かんで……。 「智流……」 　志水のストッパーが完全に外れた。理性はどこか遠くへと消え去る。ブレーキはきかない。 　智流を抱きたい。智流の奥深くへと沈み込みたい。一つに繋がり、彼が快楽に泣き叫ぶ姿が見たい……。 　志水は今一度唇を重ねた。恋人の呼吸までも喰らうかのように、角度を変え、何度も激しく柔らかな唇を吸い上げる。 　ゆっくりと開かれていく智流の唇のあいだに舌を入れ、絡ませながら、彼の着ているパジャマのボタンを解いていった。 　全開になった智流の胸元は透き通るように白くなめらかで、志水の情欲を煽る。 　吸い付くような綺麗な肌に、志水が唇と手を這わせていくと、智流が甘い吐息を漏らした。 「あ……、志水さん……」 　志水が、智流の薄い色をした小さな乳首に触れた瞬間、彼の腰が小さく跳ねた。 　片方の乳首には唇での愛撫を、もう片方の乳首は人差し指で円を描くようにして愛撫をあたえる。 　両方の乳首を執拗に愛されて、 「あっ……や……」 　智流が切なく甘い声を零し、大きく頭をのけ反らせる。 　志水は唇を首筋へ戻すと、思いきり吸い上げた。 「あ……」 　少しでも力を加えたら、折れてしまいそうな細い首のあちこちに、志水のキスの跡が淫らに色づいていく。 　そのまま鎖骨から胸元へと何度も何か所も強く吸い上げ、肌に志水の所有の印を刻みながら、再び乳首へと唇を這わせていった。 「あ……、あっ……志水さ……」 　智流にとっては初めて知る類の快感だろう。抑えようとしても抑えきれない善がり声が智流の唇から漏れ零れる。