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第62話 イブの夜は甘く……②

 両方の乳首を愛撫され、智流が感じ入っていることは、志水の下半身に当たっている彼の勃起が如実に表していた。  ……男でも乳首ってこんなに感じるものなんだ。  愛しさと欲望に支配されている頭の片隅で、志水はそんなことを思う。  同性とセックスするのは初めてだから、そう言う意味では志水もまた、『童貞』と言えるかもしれない。  智流の反応の一つ一つが初々しく、それでいて艶めかしくて、心を奪われる。愛し合う行為に夢中になって、暴走する雄をとめられなくなりそうだった。  志水は、智流の上半身に申し訳程度に絡んでいるパジャマを乱暴に剥ぎ取ると、ズボンのほうも下着ごと脱がせてしまう。  快感に身をゆだねて朦朧としていた智流だったが、下半身を外気に晒され、強い羞恥が戻ってきたようだ。体をひねって志水の目から裸体を隠そうとしている。  志水はそれを許さず、智流の両手をベッドへ押さえつけ、彼の姿態をなめるように見つめた。  智流は本当に綺麗だった。  漆黒の大きな瞳が印象的な小さな顔、ほっそりとした長い首、華奢な体は切ないほどの色香を放っていて……。  なめらかな肌のいたるところに、志水のつけたキスの跡がなんともエロい。  志水はいったん智流から体を離すと、自分も手早くすべての衣服を脱ぎ捨てた。  素肌と素肌を重ねると、智流の体温と鼓動が伝わってくる。  志水は智流の額にふわりと優しいキスを落としてから、彼の左手を取り、薬指にそっと唇を這わせた。  志水の唇は、贈ったばかりの指輪へとたどり着く。  一生大切にするから……、一生傍にいてくれ。  永遠の誓いと願いを胸に抱き、志水は指輪に唇を押し当てた。

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