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第63話 イブの夜は甘く……③
智流の指と自分の指を絡ませると、志水は、ぴったりと重ねたお互いの昂ぶりを刺激するようにゆっくりと動き始めた。
「あっ……、や……志水さ……」
智流がゆるゆるとかぶりをふりながら、甘く掠れる声をあげ、
「……っう……」
彼の声を耳に甘く聞きながら、志水もまた快楽の吐息を零した。
合わされた二人の男性自身が擦りあげられ、得も言われぬ快感が体の中心からせり上がってくる。
「も……だめっ……志水さんっ……」
悲鳴に近い善がり声をあげて、智流は瞬く間にイッてしまった。
静かな部屋に響く智流の達したあとの荒い呼吸。志水は恋人の呼吸が整うのを、彼の体を抱きしめたまま待った。
智流の心音がとても速い。同じように志水の心音もまた疾走している。
誰かと抱き合うひとときに、これほどの幸せを感じたことは初めてだった。
「志水さん……」
ようやく呼吸が落ち着いた智流が名前を呼んでくる。
「ん?」
汗で額にくっついた髪をはらってあげながら、志水が答えると、澄んだ瞳が物言いたげな表情で見つめてきた。
「なに? 智流」
「あの、……志水さん、まだ、イ、イッてない……」
智流は顔を真っ赤にしてそう言った。
「ああ……」
そう、智流はお互いの下半身のそれを擦り合わせるだけの刺激で、絶頂へと昇りつめたが、志水の雄はまだ固く勃ちあがったままである。
「……智流、イカセてくれる?」
耳元でそう囁くと、
「そ、そんなこと、き、聞かないで……」
智流は少し怒ったような、それでいて、甘えているような、なんともかわいい反応で応えてくれた。
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